研究課題
有機半導体薄膜における縦方向移動度を抜本的に向上させることを目的として、基板上の分子配向制御および三次元的な伝導を示す材料の探索を行っている。最終年度では、初年度に確立した塗布プロセスから成膜できる還元型酸化グラフェン(rGO)層を、配向制御のためのtemplate layerという枠組みを超えて、縦型有機トランジスタのソース電極として応用するという、新たな検討を行った。シリコン(ゲート)酸化膜上にrGOをソース電極として、n型有機半導体とドレイン電極を積層した縦型有機電界効果トランジスタ(VOFET)を構成した。その結果、CVDグラフェンを用いた既報のVOFETに匹敵する高い変調電流及びon/off比を、塗布プロセスで作製できるrGO-VOFETで実現することに成功した。偏重電流の温度依存性から、rGOのフェルミレベル制御により変調していることも確認し、今後の新しい有機トランジスタの枠組みとして期待される。一方、縦方向移動度を向上させるface-on配向を実現するこれまでとは別のアプローチとして、材料自身の性質によりface-on配向を誘起する材料の探索を行った。さまざまな材料を検討した結果、π平面に対して水素結合に基づくside-by-sideの分子間相互作用を持つ、ジピリジルジケトピロロピロールに着目した。いくつかの誘導体を用いて薄膜形成を行ったところ、特別なtemplate層等を用いない通常のガラス基板上でも、face-on配向が実現できることを見出した。特に、ピリジル基のNが外側に位置する誘導体の方が有効に分子間水素結合が形成され、その結果、膜成長時にface-on配向がより安定化され、さらにその時に縦方向電子移動度が高くなることが分かった。このように、高い縦方向移動度をもたらすface-on配向膜を、材料自身の設計によっても誘起できることを示した。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (9件) (うち国際共著 1件、 査読あり 9件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (26件) (うち国際学会 9件、 招待講演 3件) 備考 (1件) 産業財産権 (2件)
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