研究課題/領域番号 |
17H03136
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
福田 隆史 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 主任研究員 (50357894)
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研究分担者 |
茨田 大輔 宇都宮大学, 工学部, 准教授 (80400711)
江本 顕雄 徳島大学, ポストLEDフォトニクス研究所, 特任講師 (80509662)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | サブ波長構 / 構造二色 / 超効率電場集中 / センシングチップ / ポータブルデバイス |
研究実績の概要 |
H31年度は申請計画に従って、引き続き研究課題 [1] 「超高効率電場集中構造の設計」にも取り組んだ。昨年度に開発した“構造パラメータ付き転送行列法”について,転送行列法部分について3次元光伝播解析を可能とすること、および、媒質が金属であっても計算可能とするための拡張を行った。構造パラメータの導入によって二次元周期的構造における半解析的な光伝播解析が可能で、極めて高速な構造スクリーニングができるようになった。ただし、媒質が金属である場合、計算の実行に非常に大きな有効桁数が必要となるため、高精度の演算を達成するには計算アルゴリズムの工夫が必要であることが分かった。また、上記と並行して、その他の要素技術の検討も進め、以下の成果を得た。 [2] 超高効率電場集中構造の創成・評価については、特定の空間周波数成分が支配的に有するサブ波長孔構造を設計し、円柱ピラーを鋳型として独自に開発した構造形成プロセスソフトナノインプリント法で構造を形成する条件を最適化の上、RIU値>530の大きなピークシフトを示す鋭い反射スペクトルのチップを得ることに成功した。さらに、[3] 7スポット機能表面の創成に関して、多液種マイクロスポッタにより、7スポット機能表面(1スポットサイズ=直径1mmφ)の塗り分けが可能であることを確認した。[4] 「模擬血清試料を対象とした検出感度の定量評価」については、模擬血清に鉄、銅、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、リチウムを様々な濃度で混合したテスト試料を調整し、金コート基板上の反射光測定において各キレート剤の発色を検出できることを確認した。また、[5] ポータブルセンシングシステムの確立にかかり、アナモルフィックフレネルレンズの歪み関数を改良し、より高い集光性能と波長分解性能を見出すに至った。また、パッケージング化に向けたモジュール製作の検討を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画に沿って、超高効率電場集中構造の設計を進め、その作製プロセスに関する条件出しやノウハウの蓄積を行うことができた。また次年度の研究開発に向けた予備検討や調査も着実に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
R2年度は本研究の最終年度にあたることから、昨年度までの要素・基盤技術を統合し、目的としている“高感度で高精度なセンシングチップ・システムの構築”を目指す。また、当該研究に関心を持つ企業との連携を進め、実用化に向けた課題抽出などの活動にも注力する。
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