研究課題/領域番号 |
17H03139
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
坂 真澄 東北大学, 工学研究科, 教授 (20158918)
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研究分担者 |
李 渊 東北学院大学, 工学部, 准教授 (50625001)
木村 康裕 東北大学, 工学研究科, 助教 (70803740)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 機械材料・材料力学 / イオンマイグレーション / デンドライト |
研究実績の概要 |
平成29年度は、イオンマイグレーション(IM)を活用して創製する金属(酸化物)微細構造を用いた応用基盤構築を軸として、様々な基板上における金属(酸化物)微細構造創製に関する研究を遂行し、以下の研究実績を得た。 1. 透明基板上における金属微細構造の創製 IMを活用し、印加電圧および電極周辺の界面の状態を変化させることで、ワイヤ・粒子積層構造、粒子薄膜構造、島状構造なる3つの異なるAg微細構造の大規模創製を透明基板であるポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に実現した。また創製したAg微細構造を用いた銀粒子の創製を実現した。 2. Cu箔表面における金属(酸化物)微細構造の創製 異種金属電極間におけるIMに他に先駆けて挑戦し、金属(酸化物)微細構造の創製を成功させた。具体的にはアクリル絶縁セルにCu箔とSn箔をそれぞれ陰極と陽極として設置し、一定の間隔に保持した実験系を構築した。これを用いて脱イオン水をセルに滴下し、直流電圧を印加し、IMを誘起させ、陰極であるCu箔表面にSn系微細構造を創製した。 3. 創製-構造の相関関係の解明 IMによる金属(酸化物)微細構造の創製に及ぼす影響因子を解明した。異種金属電極(Cu/Sn)によるSn系微細構造の創製において、印加電圧の変化によって創製したSn系微細構造は星状のナノ粒子からスポンジ状の構造体に遷移することがわかった。またセル温度の上昇により創製された粒子のサイズが増大するが、一定の温度で飽和することがわかった。同種金属電極(Cu/Cu)によるCu系微細構造の創製において、温度の上昇により創製した構造体は海綿状から笹の葉型に遷移することがわかった。また純水の代わりに塩酸を電解液として用いた場合に、ナノデンドライトの創製が実現できた。その他、陰極電極周辺の界面が析出形態に及ぼす影響を調査した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実績の概要に記載の通り、申請時に計画した研究を遂行し、IMを活用した金属(酸化物)微細構造の創製を実現し、印加電圧・印加時間といった影響因子の調査を通じて、創製と構造の相関関係解明への方向付けに成功した。また透明基板上へのAg微細構造の大規模創製の試みとCu箔表面における微細構造創製を実施することで、金属(酸化物)微細構造の応用基盤構築に着手し、順調に実績を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画調書に記載の通り、研究を推進する。 平成30年度は、研究計画の(II)に記載の内容を実施することで、金属(酸化物)微細構造の特性評価と信頼性評価を行う。全光線透過率と表面抵抗の測定により、IMを活用した金属(酸化物)微細構造の透明導電膜への適用可能性を示す。
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