研究課題
2019年度はダイヤモンド状炭素(DLC)膜のガス導入下での反応評価,および昨年度までは温度を評価パラメータとしてきたが,これを熱量にすることでより一般化するため,大気下で赤外領域のレーザーを用いて局所加熱した際の変化についても検討した.DLC膜は2018年度と同じ,フィルタードカソーディックアーク(FCVA)およびスパッタリング法によりsp2/sp3炭素結合比の異なる3種の非水素化DLC膜を,パルスプラズマを用いて4つの炭化水素ガスを原料に用いて化学起草析出法により構造の異なる6種の水素化DLC膜をSi基板上に準備した.これらのDLC膜を窒素もしくはアルゴンパージ下および大気下で加熱後,その構造変化を評価した.更にネオジウムYAGレーザーによって40 mW~5 Wで約φ1 mmの膜の表面を局所加熱し,この加熱領域の各部のX線吸収微細構造スペクトルを得,炭素のsp2/sp3結合比率の照射領域各部の変化を捉えた.その結果,水素化DLC膜において水素の脱離傾向が示唆されると共に,レーザー照射域内では炭素の結合がsp2に変化する傾向が示され,5 Wのレーザー照射においては基板であるSiが露出している部分が中央にあり,この部分で酸素の分布も観察されたことから,本エネルギー領域ではDLC膜が熱により大気成分,特に酸素との反応していることも示唆された.2020年1月頃より,同位体効果による耐熱性強化の検討の為,重水素のDLC膜への導入による昇温脱離試験の評価を最後に実施予定であったが,これらの重水素化膜を作製した段階で昨今のコロナ渦の関係で停止せざる得ない状況となった.本試験及び最終の検討については実施ができていないが準備はほぼ完了しているため今後,検討予定である.
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち国際共著 2件、 査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件)
Radiation Physics and Chemistry
巻: 173 ページ: 108944-108956
https://doi.org/10.1016/j.radphyschem.2020.108944
Diamond & Related Materials
巻: 101 ページ: 107609
https://doi.org/10.1016/j.diamond.2019.107609