ダイヤモンド状炭素(DLC)膜はsp3とsp2結合性の炭素及び水素からなるアモルファス炭素膜の総称である.DLC膜の構造と膜の耐熱性の関係を評価し,DLC膜の熱分解反応過程から,耐熱性の向上指針を得る事を目的とし,各種構造を有するDLC膜を準備して,各膜の構造を把握した上で加熱時に脱離してくる脱離分子の温度依存性とその際の膜のsp2/sp3結合性炭素比の変化を評価した.その結果,熱分解はDLC膜の初期構造が均一である場合には加熱によって均一に進行し,400℃程度で水素脱離が始まり,その後,炭化水素の脱離が起きる事が示された.このため耐熱性を決める因子として膜内の水素が重要である事が示された.
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