研究課題/領域番号 |
17H03153
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
吉岡 勇人 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (90361758)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 超磁歪素子 / 接触検知 / モニタリング / 精密加工 |
研究実績の概要 |
超磁歪素子による回転工具の微動駆動特性の評価を行い,サブマイクロメートルの位置決め分解能を有することを確認した.具体的には,主軸回転中に微小ステップ指令値を与えて,超磁歪素子の変位制御を行うことで0.1マイクロメートルの位置決めを確認した.さらに,1軸位置決めテーブルを用いて基礎的な加工システムを構築し,微細フライス加工を行った結果,表面粗さが40nmRa程度の滑らかな加工面が得られることを確認した.また,超磁歪素子に正弦波状の位置指令値を与えることで切削加工を行った結果,実際に信号に応じた断面形状の加工面が得られることを確認した. 接触検知に関する手法としてダイヤモンド工具の刃先にエバネッセント光を発生させ,接近に応じた出力信号から工具と工作物との接触前に接近状態を監視する方法について検討し,1つのレーザ光では工作物材料の表面屈折率の影響を受けてしまうのに対し,波長の異なる2種類のレーザ光を用いてその反射強度比に着目することで工作物材料の影響を受けにくい方法を提案した.さらに光学的なシミュレーションを行うことで,提案する手法が材料に依存せず距離100nm付近で極小値を取ることを確認した.一方,超磁歪素子と同軸に配置した検知用コイルの逆起電力に着目することで,工具刃先と工作物表面との接触時の素子のインダクタンス変化に応じた信号を取得することができ,微細加工時の工具接触検知に応用できる可能性を確認した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
申請書に記載した,超磁歪素子による工具サーボの高度化について実際に実験により位置決め分解能向上を確認している.また並行して進める研究項目である,エバネッセント光を用いた材料に依存しない接触検知についても,シミュレーションを通じて新たな手法を提案しており,順調に研究が進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
申請した研究計画に基づき,平成30年度に三次元微細加工システムの構築を行い,平成31年度(最終年度)に機能パターンの創成およびその評価を行う.特に,平成30年度に関しては,パターン創成に必要な加工システムの仕様を明確にし,それに基づき各構成要素の選定および設計を行う必要があるため,対象とする加工物のサイズ,必要な分解能など具体的に検討を進める.
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