研究課題/領域番号 |
17H03180
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
丸田 薫 東北大学, 流体科学研究所, 教授 (50260451)
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研究分担者 |
中村 寿 東北大学, 流体科学研究所, 准教授 (40444020)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 燃焼 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、流体工学分野で目覚ましい進展が見られる、流体計測と数値流体解析との融合を、複雑な化学反応を含む燃焼現象に適用することで、燃焼現象の定量予測を可能にする、従来とは異なる新たな手法を構築することにある。研究の背景として、燃焼現象は数値計算による定量予測が非常に困難な現象の一つであることが挙げられる。 実際の熱流体機器設計、例えばガスタービンやエンジン設計においても、燃焼( 化学反応)を伴わない場所の設計が数値計算のみによってある程度可能であるのに対し、燃焼を伴う場合には、定量予測は一般に困難である。 本研究では、微細な石英管を外部から加熱した系を利用することで、ある程度の規則性をもって着火や燃焼現象が繰り返される現象を安定に再現できることを利用し、流体計測と数値流体解析との融合の可能性を検討することを第一の目的としている。 初年度はまず、実験による反応帯位置のトラッキング技術確立を目指して光学計測を開始したが、実験系の特徴から反応帯位置において大きな密度差を確保することができなかった。このためまずは数値計算を先行して実施することとし、化学反応の数学モデルについて数通りの場合を対象に、数値計算コードの構築から開始した。その結果、数値計算については予定を越えた進捗が見られ、素反応機構を用いた多次元計算の見通しを得ている。 具体的には、当初予定した炭素数1のメタンのみならず、実用燃料の代表種として用いられる炭素数7の正ヘプタンについても、数値計算を実施でき、結果の解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実験による反応帯検知に原理的な困難があることが分かえり数値計算を先行させることとなったが、数値計算においては、1次元計算において数種類の化学反応モデルについて結果を得ることが出来、さらに予定を越えて実施した2次元計算でも素反応機構を用いた数値計算の結果を得ることが出来た。その進度は計画を大きく上回るものとなった。その水準は、国際学術誌への原著論文を投稿できる程度に達しており、現在、データの整理を進めている。当初予定した炭素数1のメタンに加え、しばしば実用燃料の代表種として用いられる炭素数7の正ヘプタンについても、数値計算を行うことが出来ている。実験研究の進度は火炎位置の検知の困難さから進捗が思わしくないものの、数値計算が予定を越えて進捗しており、全体として「おおむね順調」とした。
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今後の研究の推進方策 |
実施が遅れている実験研究については、反応帯からの画像検知による方法に切り替え、反応帯位置の検知を再度実施することとし、すでに試行を開始している。一方の数値計算については、炭素数7の正ヘプタンについても詳細化学反応機構を用いて2次元以上の計算を実施できることが確認され、その結果の解析、特に中間反応物質の動的振る舞いについて、化学反応機構との関連性に踏み込む反応解析を実施する予定である。正ヘプタンについての数値計算では冷炎反応と、通常の主反応との干渉が捉えられているとみられ、詳細な分析を行うことを計画している。画像検知による実験が可能になれば、その結果との融合へと進めたい。
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