外部熱源により温度分布を与えた石英細管内における振動燃焼現象FREIを対象に、同現象の数値解析に計測結果をフィードバックすることを目標に研究を開始した。最初に光学的手法を用いてフィードバック信号を得る方針で実験を実施したが、反応帯における温度上昇(密度勾配)が小さいため反応検知が困難を極め、実験に先行して詳細反応機構を用いた数値計算に着手しH30年度にかけてその高度化を図った。H31(R1)年度は、数値計算をさらに進め、詳細反応機構を用いて進めた。まずメタンを燃料とする場合について、FREIの全体現象を再現することが出来た。FREI現象時の支配的な発熱反応が時系列的に変化するようすを、素反応と対比しつつ分析した。また低温酸化反応を呈することで知られる正ヘプタン燃料に計算を展開し、同燃料におけるFERI現象が、メタンなどの高温酸化反応のみを呈する燃料とどのように相違するか解明することを目標に数値計算を実施した。結果として,計画の段階における期待を上回り、正ヘプタンにおけるFREI現象を数値的に捉えることが出来、FREIの繰り返し時に冷炎反応が生じ定在、それを高温反応する正炎が飲み込む形でFREIが進行することを世界で初めて明らかに出来た。この結果を、基礎燃焼分野で最も権威ある、国際燃焼シンポジウムに論文投稿し、採択率40%をクリア、口頭発表の権利を得ることが出来ている。コロナ禍のため会議の延期が決定(当初の2020年7月→2021年1月)し、現在は、採択された口頭発表の追加査読を受け、原著論文として出版する過程にある。一方で実験については、やはりフィードバック信号の検出が困難なまま、数値計算へのフィードバックを行うことができない段階で研究期間が終了してしまった。数値計算が予想以上に進展したことは良いが、計算融合の研究は、実験法を再検討し再挑戦したいと考えている。
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