(1)前年度に引き続き,平成30年度に開発した並進・回転分離型ゼロコンプライアンス機構を利用した力測定装置を用いて,力の測定実験を行い,その性能を評価した. (2)平成29年度に開発した3自由度の3角形ヒンジとリニアアクチュエータを組み合わせたゼロコンプライアンス機構を利用した力測定装置と,平成30年度に開発した並進・回転分離型ゼロコンプライアンス機構を利用した力測定装置との性能比較を行った.評価項目は,検出感度,線形性,軸間干渉及び制御性とした. (3)前年度までに開発した装置において,法線方向及び接線方向の2次元力の検出実験を試みた.具体的には,作用点に法線方向の力(法線力)に加えて接線方向の力(接線力)を作用させる.作用点の位置及び角度が所定の値に保たれているとすると,接線方向の力が作用しているので,カンチレバーのたわみの形状が変化し,その結果検出点の変位及びその角度も変化する.したがって,検出点の変位及び角度から法線力及び接線力を同時に推定することができる.このような発想に基づいて,2次元力の測定を試みた.具体的には,作用点に作用する力の方向を様々に変化させて測定を行い,直線性・分解能やヒステリシス誤差などの基本特性を把握した.特に,駆動ユニットの形状から力を推定する方法と制御入力から力を推定する方法とで得られる精度の比較を行った.さらに,軸間干渉の大きさについて調べた. (4)(3)の結果,試作した装置で高感度の分力測定が困難であることが判明したので,カンチレバーの構造を変更について検討した.その一つとして,二つのカンチレバーを組み合わせた多段カンチレバーを用いて接線方向の支持が低剛性となる構造について検討を行った.
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