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2018 年度 実績報告書

非線形圧電振動評価法の確立と小型強力超音波デバイスへの応用

研究課題

研究課題/領域番号 17H03189
研究機関東京大学

研究代表者

森田 剛  東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 教授 (60344735)

研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード強力超音波振動 / 非線形振動モデル / 圧電材料
研究実績の概要

本研究の目的は、強力超音波振動子の限界振動速度を決定する圧電材料の非線形振動を含めたモデル化を行うことで、実デバイスの定量的性能評価を可能にすることと、圧電材料の性能向上に貢献することができるようにすることにある。
本年度は、まず強力超音波振動源として最も一般的に用いられるランジュバン振動子の非線形モデルを作成し、ハイパワー特性の計算モデルを構築した。その計算を実施することで、材料パラメータを変化させてハイパワー特性の定量評価を可能にした。また、実際のランジュバン振動子のハイパワー特性を実測し、この結果を提案モデルで解析することにより、高次弾性係数の応力特性はランジュバン振動子の最適予圧に関与しない可能性が高いことを明らかにした。本研究により、高次弾性係数を用いて圧電デバイスの非線形モデルが作成可能であることを実証することができた。
また、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)に代替可能で、環境負荷の小さい非鉛圧電セラミックスの非線形振動評価を行い、PZTに匹敵する特性を示す材料が存在することを明らかにした。特に、従来の非線形圧電振動において一般的に用いられてきた31圧電効果ではなく、33効果において伝達マトリックス法を応用展開したモデル化を構築したことは大きな進展である。今後は、上記のランジュバン振動子に優れた非鉛圧電材料を利用することで、従来の限界振動特性を凌駕する強力超音波を利用することが可能になるものと期待できる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

実デバイスとして強力超音波振動子として最も利用されているランジュバン振動子をとりあげ、その非線形振動モデル化を行うことができた。その結果、圧電材料の非線形特性の予圧依存性を実測することによって、ランジュバン振動子の最適予圧が非線形特性ではなく、線形特性に大きく依存していることを明らかにすることができた。

今後の研究の推進方策

非鉛圧電セラミックの非線形振動評価を引き続き計測すると共に、ランジュバン振動子に組み込んだ場合の強力超音波特性を評価していく。2018年度のPZT系圧電セラミックではランジュバン振動子に組み込んだ場合の限界振動特性は非線形特性の予圧依存性は見られないという結果が得られた。非鉛圧電セラミックの場合について、この傾向が同じであるかどうか、またそれは圧電セラミックの結晶構造やドメイン構造などとどのような関連があるのかを明らかにしていく予定である。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2019 2018 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 4件、 招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] High-power piezoelectric vibration model considering the interaction between nonlinear vibration and temperature increase2019

    • 著者名/発表者名
      Miyake Susumu、Ozaki Ryohei、Hosaka Hiroshi、Morita Takeshi
    • 雑誌名

      Ultrasonics

      巻: 93 ページ: 93~101

    • DOI

      https://doi.org/10.1016/j.ultras.2018.10.014

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Acoustic focusing to the waveguides utilizing double parabolic reflectors2019

    • 著者名/発表者名
      Chen Kang、Irie Takasuke、Iijima Takashi、Morita Takeshi
    • 雑誌名

      Applied Physics Letters

      巻: 114 ページ: 072902~072902

    • DOI

      https://doi.org/10.1063/1.5086086

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Quantitative evaluation method for nonlinear characteristics of piezoelectric transducers under high stress with complex nonlinear elastic constant2018

    • 著者名/発表者名
      Miyake Susumu、Kasashima Takashi、Yamazaki Masato、Okimura Yasuyuki、Nagata Hajime、Hosaka Hiroshi、Morita Takeshi
    • 雑誌名

      Japanese Journal of Applied Physics

      巻: 57 ページ: 07LB14~07LB14

    • DOI

      https://doi.org/10.7567/JJAP.57.07LB14

    • 査読あり
  • [学会発表] Evaluation method for high-power piezoelectric materials and devices2018

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Morita
    • 学会等名
      IEEE International Ultrasonic Symposium (IUS 2018)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Nonlinear elastic constants measurements for various piezoelectric materials2018

    • 著者名/発表者名
      Susumu Miyake, Takashi Kasashima, Masato Yamazaki, Yasuyuki Okimura, Hajime Nagata and Takeshi Morita
    • 学会等名
      International Workshop on Piezoelectric Materials on Applications (IWPMA 2018)
    • 国際学会
  • [学会発表] Nonlinear elastic coefficients of piezoelectric material in Langevin transducer analyzed with transfer matrix2018

    • 著者名/発表者名
      Naruhiro Iwama, Susumu Miyake and Takeshi Morita
    • 学会等名
      International Workshop on Piezoelectric Materials on Applications (IWPMA 2018)
    • 国際学会
  • [学会発表] Resonant frequency control method for R-SIDM2018

    • 著者名/発表者名
      Takeshi Morita
    • 学会等名
      IEEE 3M-NANO 2018
    • 国際学会
  • [学会発表] ボルト締めランジュバン振動子の非線形モデル化および非線形弾性係数の測定2018

    • 著者名/発表者名
      岩間 成裕, 三宅 奏, 森田 剛
    • 学会等名
      超音波エレクトロニクスの基礎と応用に関するシンポジウム(USE2018)
  • [備考] 東京大学 新領域創成科学研究科 人間環境学専攻 人間支援デバイス分野

    • URL

      http://www.hsd.k.u-tokyo.ac.jp

URL: 

公開日: 2019-12-27  

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