研究課題/領域番号 |
17H03193
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研究機関 | 同志社大学 |
研究代表者 |
辻内 伸好 同志社大学, 理工学部, 教授 (60257798)
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研究分担者 |
大平 充宣 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (50185378)
伊藤 彰人 同志社大学, 理工学部, 准教授 (60516946)
上林 清孝 同志社大学, スポーツ健康科学部, 准教授 (70415363)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | 運動制御 / トレッドミル / 慣性センサ / バイオメカニクス / 微小重力 |
研究実績の概要 |
「骨格筋」は筋量を維持するだけで骨萎縮の予防法となる.さらに,単に骨格筋萎縮の予防だけでなく,例えば加齢性筋肉減弱症(サルコペニア)など様々な生体機能の退行性変化の予防法につながる.本年度は,上記研究テーマに対して研究を開始し,①②③項目で下記の成果を得た. ① NASA ARGOS を用いた低重力下の歩行解析:ARGOSを用いて様々な低重力環境条件下における歩行運動実験を5月に実施するため,実験装置などをNASA JSCに送付し渡米したが,NASA本部から契約上の問題点を指摘され,本実験は実施できず予備実験を行った.装置の通信状態など実験環境に関する確認は完了した.NASA eIRB委員会にて,承認された実験内容は2020年まで延長された.次年度本実験実施の予定. ② 筋骨格モデルによる重力の抗重力筋に与える影響の評価:ALTER-Gを用いた下半身免荷実験による歩行形態の変化を纏め,国際学会で講演した.次年度,筋骨格モデルSIMMを用いて下肢主要筋の活動量を評価し,実験結果と比較する. ③ 自走式トレッドミルの開発:共同研究先で「自走式トレッドミル」を試作した.ヒトが床面上を自走する際の感覚と違和感のない駆動制御アルゴリズムを開発し,ヒトの歩行実験を実施した結果,改良点が明らかになったため改造を依頼し3月に完成の予定である.本装置による下肢筋肉,特に抗重力筋であるヒラメ筋に対する効果を評価し,その結果を,国内学会にて講演した. 本研究に関係する成果を,国内学会6件,および国際学会3件,国内論文1件(同志社大学ハリス理化学研究報告, 59巻 1号, (2018年) 13~24頁)で公開した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
① NASA JSC ARGOS を使用した本実験は実施できなかったが,実験に使用する装置一式を持ち込み,実験系を組み上げて Bluetooth 等の通信系の検証を実施し,予備実験が完了.研究倫理申請も2020年まで延長された. ② ALTER-Gを用いた下半身免荷実験によって低重力が歩行形態におよぼす影響を複数人で計測し,国際学会で講演した. ③ 試作した「自走式トレッドミル」の制御手法の検証を行い,改良点を明らかにした. 目標の3項目に対して,NASAの本実験が延期されたものの,計画通りの成果が得られたため.
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今後の研究の推進方策 |
① NASA JSC ARGOSを使用するため,共同研究契約の締結を進める.ALTER-Gを用いた下半身免荷実験の被験者を増やしてデータを蓄積するとともに,歩容と筋電信号との関連を運動解析によって明らかにする. ② ALTER-Gを用いた下半身免荷実験とウエアラブル床反力計の計測結果から,筋骨格シミュレーションソフトウェアSIMMを使用した解析を実施し,実験から得られる主筋に発生する筋電出力信号を比較することで,主筋活動度と重力の関係を明らかにする. ③ 本年度末納入された「自走式トレッドミル」の2次試作機を使用した,運動効果の検証を行う.負荷制御手法の改善を行い,適切な運動形態を探求する.
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