研究課題/領域番号 |
17H03204
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
高木 賢太郎 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (60392007)
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研究分担者 |
入澤 寿平 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (30737333)
田原 健二 九州大学, 工学研究院, 准教授 (80392033)
安積 欣志 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 材料・化学領域, 研究グループ長 (10184136)
井上 剛志 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (70273258)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 高分子アクチュエータ / 高分子センサ / 機能材料 |
研究実績の概要 |
本研究の内容は,大きく分けて,釣糸人工筋アクチュエータのモデリング,イオン導電性高分子センサのモデリング,人工筋アクチュエータモジュールの開発の3つである.それぞれ分けて平成30年度の研究内容を以下に述べる. <釣糸人工筋アクチュエータ>:人工筋アクチュエータモジュールの設計のためには,アクチュエータの特性がわからなければならない(モデリング).モデリングと,いまだ不明な点が多い動作原理の解明に向けて研究を進めている.本年度の研究の結果,収縮型(TCPF)だけではなくねじり型(TPF)の動作の特性計測が重要であることがわかってきた.さらに,温度に依存して,履歴現象(記憶効果)が生じることを新たに発見した.これを温度依存履歴現象と名付け,特性計測を行った.物理原理は現在検討中であるが,発見した成果は複数の学会にて発表を行った. <イオン導電性高分子センサ>:センサの物理モデルはすでに提案されているが,非線形連立偏微分方程式で表され非常に複雑であり,工学的な近似モデルが必要とされている.前年度に得られたセンサ電圧発生モデル近似に加えて,センサ電流発生モデルに着目し,研究を進めた.電流発生モデルにおいても,シンボリックな有限要素法によって,解析的に離散化モデルを導出することに成功した.電圧に比べて電流をシミュレートするためには,より高い次数が必要であったが,非常に良い近似が得られた.成果は複数の学会発表にて報告を行った. <モジュールの開発>:前述のように,釣糸人工筋アクチュエータに関して,これまでに知られていない新しい特性(温度依存ヒステリシス)を見出した.そのため,モジュール開発に先駆けて釣糸人工筋アクチュエータの特性計測とモデル化に重点をおくものとした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
<釣糸人工筋アクチュエータ>:特性計測において新たな発見があり,当初予定していたモデル化に必要なエフォートは大きく増えているが,研究は順調であると考えられる. <イオン導電性高分子センサ>:モデル化において,進捗は順調である. <モジュールの開発>:前述のように,釣糸人工筋アクチュエータに関して,これまでに知られていない新しい特性(温度依存ヒステリシス)を見出した.そのため,モジュール開発に先駆けて釣糸人工筋アクチュエータの特性計測とモデル化に重点をおくものとした.
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今後の研究の推進方策 |
<釣糸人工筋アクチュエータ>:これまでの研究で作製した特性計測実験装置を用いて,熱・機械の相互変換特性の計測を引き続き行う.熱・機械の変換特性を計測した結果,収縮型(TCPF)だけではなくねじり型(TPF)の特性計測が重要であること,また,温度による履歴現象が存在することがわかってきた.それぞれをより詳細に計測することにより,物理原理の解明に向けた成果が大いに期待できる.まず,実験による特徴づけ(Characterization)の基礎となる本質的なデータを得ることを目的とする. <イオン導電性高分子センサ>:これまで,解析的な有限要素法により,電圧発生モデルならびに電流発生モデルが得られてきた.電圧発生と電流発生それぞれのモデルの特性を比較検討する.また,低次元化については容易にできる場合と,難しい場合があることがわかってきたため,それを明らかにすることを目的とする.また,厳密な解析解に関する知見についても結果が得られつつあるため,検討を進める.なお,提案解析的近似モデルの数値計算と直接数値シミュレーションには,市販ソフトウェア(MATLAB,COMSOL)を用いる. <モジュールの開発>:モジュール化に適した釣糸アクチュエータを検討するとともに,ゴルジ腱器官を実現するイオン導電性高分子センサの検討を行う.モジュールの設計について引き続き検討を行う.
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