研究課題
本研究では、圧電薄膜の圧電性の特徴およびその起源を明らかにすることで、圧電薄膜の圧電定数の向上に向けた指針を明らかにすると共に、その特徴を利用した新しい圧電マイクロデバイスの創出を目的としている。2020年度はスパッタ法でPZT薄膜およびKNN薄膜を作製すると共に、特にSi基板上へのエピタキシャル成長技術および放射光XRDを用いた圧電効果の観察を行った。RFスパッタ法を用いて(001)SRO/Pt/ZrO2/Si基板上にPZT圧電薄膜およびK/Naが約50/50のKNN圧電薄膜を成膜し、その巨視的圧電性とともにSPring-8による電界印加時の結晶構造のひずみの関係を調べた。エピタキシャルPZT薄膜の逆格子像を観察した結果、明瞭なスポット構造が確認でき、良好なエピタキシャル成長が確認できた。電界印加時の(004)回折パターンは単純なピークシフト共に明瞭なピーク形状の変化も見られ、電界印加による結晶相もしくはドメイン構造の変化が起こっていることが確かめられた。一方、非鉛KNN圧電エピタキシャル薄膜の電界印加による結晶構造変化は主にピークシフトのみである一方、低角側のテール部の強度が変化がみられた。このことはKNN薄膜はPZT薄膜と異なる圧電効果を有していることを示している。今回放射光XRD測定で特に2次元検出器で得られたデータを逆格子変換する手法を開発し、より詳細な圧電効果の結晶構造観察技術の確立に成功した。今後組成構造の異なるPZTおよびKNNエピタキシャル薄膜の微視的圧電効果を観察し、圧電特性の向上につなげていく予定である。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
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