本研究では、マイクロ流路等の微小な空間において、レーザー光を用いることで鋳型を用いることなくマイクロゲルアクチュエータを合成することを目指している。微小空間において、ゲルアクチュエータを電場や磁場等を用いることなく自励駆動させるため、本研究では化学反応を直接的に力学的なエネルギーに変換して駆動するゲルを用いて主に検討を行った。干渉させたレーザー光で任意の大きさや構造周期を持つマイクロスケールのゲルを合成するため、モノマー、架橋剤、開始剤、反応促進剤の組成および濃度の検討を行った。レーザー光は、安価な405nmの連続光・半導体レーザーを用いて行った。2本から4本のレーザー光を干渉させることが可能な光学系を構築し、数百μmの微小なゲル構造体の作製を目指した。構築した光学系では、2本のレーザー光を干渉させると縞状の、3本または4本のレーザー光を干渉させるとドットア レイ状のレーザー干渉光をプレゲル溶液に照射することができる。構築した光学系ではレーザー光を調整するため、偏光方向を制御する波長板と偏向選択性のあるビームスプリッターを採用した。ゲルは化学反応を直接的に力学的なエネルギーに変換させるため、BZ反応の金属触媒であるRu(bpy)3を共重合させた。ゲルの主鎖に共有結合されたRu(bpy)3部位はBZ反応液中で、リズミカルな酸化・還元反応を繰り返す。Ru(bpy)3部位はゲルの主鎖内で酸化状態と還元状態で水溶性の違いが生じるため、それに起因した自励的な膨潤収縮を起こすことができる。ゲルの駆動に温度が影響するため、恒温水槽を用いて温度を制御しながら評価を行った。また駆動評価においては、ゲルの駆動に大きな影響を与えるBZ基質濃度に関しても検討を行った。現在、研究成果について、論文等への投稿準備を進めている。
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