研究課題/領域番号 |
17H03215
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
早川 直樹 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (20228555)
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研究分担者 |
小島 寛樹 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00377772)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 超伝導限流器 / クエンチ / 液体窒素 / 気泡 / 絶縁破壊 / 電力システム / 故障解析 / 過渡安定度解析 |
研究実績の概要 |
本研究では,次世代の革新的・高機能型電力機器として期待されている「超伝導限流器」について,実用化の要である高信頼度化と合理的な設計・運用に資する技術的指針を提示することを目的としている.本年度(2年次)の主な研究成果は,以下の通りである. 1.過去に取得済みの球-平板電極(準平等電界),昨年度に取得した超伝導限流器の基礎的なターン間モデルおよび実機形状を模擬したパンケーキコイルモデル(不平等電界),さらに他研究機関の文献データに基づいて,液体窒素の静的/動的絶縁性能を体積効果の観点から総合的に評価・体系化した. 2.昨年度のパンケーキコイルモデルに使用したニクロムテープを超伝導(GdBCO)テープに置換し,超伝導テープに臨界電流以上の大電流を過渡的に通電することによって実際にクエンチを発生させることにより,従来よりも大きい熱流束下での動的絶縁性能を取得し,その下限値を見出した. 3.IEEE 14母線モデルシステムに複数の超伝導限流器の導入を想定して故障解析と過渡安定度解析を行い,限流協調を考慮した超伝導限流器の適正配置や動作パラメータについて検討した. 上記1の研究成果は,国際会議ASC(Applied Superconductivity Conference,2018年10月28日~11月2日,於:アメリカ・シアトル)の招待講演となるとともに,学術論文誌IEEE Transactions on Applied Superconductivityへの掲載が決定した.また,上記2および3の研究成果を国際会議EUCAS(European Conference on Applied Superconductivity,2019年9月1日~6日,於:イギリス・グラスゴー)においてそれぞれ発表する予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した研究実施計画に従って,おおむね順調に進展している. 昨年度(1年次)および本年度(2年次)の研究成果により,学術論文誌(IEEE)1件が掲載決定となるとともに,国際会議1件,国内学会3件を発表した.さらに,次年度(3年次)の国際会議2件の発表を申込済みである.
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今後の研究の推進方策 |
超伝導限流器の限流動作時における熱/電界複合ストレス環境下の放電・絶縁破壊現象に関する論文発表が,国際会議等でドイツやフランスの研究機関などから増えつつある.これらの論文の研究成果と本研究の最新の成果を取りまとめて,高信頼度かつ合理的な超伝導限流器の絶縁設計指針を提示する. また,昨年度に開始した超伝導限流器の導入を想定したIEEE 14母線モデルシステムの故障解析と過渡安定度解析を発展させ,導入する超伝導限流器の数・配置をパラメータとして,各超伝導限流器の温度上昇(限流)・冷却(復帰)特性を評価に加える.さらに,超伝導限流器相互の限流協調の観点から,超伝導限流器の最適設計への反映と電力システムにおける超伝導限流器の適正配置・運用に関する技術的指針を提示する. これらの研究成果を国際会議EUCAS(European Conference on Applied Superconductivity,2019年9月1日~6日,於:イギリス・グラスゴー)や各種国内学会において発表する.また,世界の超電導限流器の開発動向として,特にロシア・モスクワ市内に導入された220kV超伝導限流器の最新動向などを調査する.さらに,研究代表者が委員長を務めているCIGRE(国際大電力システム会議)WG D1.64「Electrical Insulation Systems at Cryogenic Temperatures」のTechnical Brochure(技術報告書)に本研究の成果を記載し,世界に発信する.
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