研究課題/領域番号 |
17H03227
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡本 聡 東北大学, 多元物質科学研究所, 准教授 (10292278)
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研究分担者 |
島津 武仁 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 教授 (50206182)
北上 修 東北大学, 多元物質科学研究所, 教授 (70250834)
菊池 伸明 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (80436170)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | スピンダイナミクス / 高周波 / 磁気記録 / 強磁性共鳴 |
研究実績の概要 |
高周波スピンダイナミクスの制御は磁気記録,スピントロニクス分野において極めて重要な課題であり,本研究は高周波スピンダイナミクスに対するエンジニアリング手法の確立を図ることを目的とし,その具体的な実施例として次世代磁気記録技術における従来の物理限界を超える制御手法の提案を目指すものである. 初年度のH29年度では,積層磁性体を用いた磁気共鳴測定ならびにナノドット加工してマイクロ波アシスト磁化反転の原理実証実験を行った.2年目のH30年度は2層の強磁性層を反強磁性結合させた人工積層フェリ磁性体におけるマイクロ波アシスト磁化反転ならびに,粒子間の相互作用と熱揺らぎの強い影響を受けるナノグラニュラー磁性薄膜におけるマイクロ波アシスト磁化反転の実験を行った. 主な成果は以下の通りである. (1) カイラリティ制御した異常ホール効果を用いた強磁性共鳴測定により,人工積層フェリ磁性体のそれぞれの磁性層からの強磁性共鳴信号を取得することに成功した.さらに人口積層フェリ磁性体におけるマイクロ波アシスト磁化反転を実験的に実証した. (2) ナノグラニュラー磁性薄膜におけるマイクロ波アシスト磁化反転実験では,粒子間相互作用と熱揺らぎの影響を評価するため,大振幅マイクロ波印加が可能なように素子構造を見直した.その結果,このような条件下においては磁化反転磁場のマイクロ波周波数依存性にマイクロ波振幅依存性が見られることを発見した.これまでのマクロスピンモデルに基づいた理論計算や磁性ドットを用いた実験では,磁化反転磁場のマイクロ波周波数依存性はジャイロ磁気定数の逆数で与えられることが分かっているが,本結果はナノグラニュラー磁性薄膜の特徴的な挙動であると思われる.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の積層磁性体での実験に続いて,積層フェリ磁性体ならびにナノグラニュラー磁性薄膜に対するマイクロ波アシスト磁化反転実験の実施が出来たので,概ね予定通りに進行していると判断します.
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今後の研究の推進方策 |
最終年度であるR1年では,以下の課題について研究を進める予定である. 1) ナノグラニュラー磁性薄膜におけるマイクロ波アシスト磁化反転挙動の解明 2) 高周波スピンダイナミクスの工学応用が期待されるスピントルク発振素子の基礎理解と特性制御
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