研究課題/領域番号 |
17H03228
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研究機関 | 茨城大学 |
研究代表者 |
鵜殿 治彦 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (10282279)
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研究分担者 |
池畑 隆 茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (00159641)
板倉 賢 九州大学, 総合理工学研究院, 准教授 (20203078)
江坂 文孝 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 安全研究・防災支援部門 安全研究センター, 研究主幹 (40354865)
塩見 淳一郎 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (40451786)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | マグネシウムシリサイド / 赤外線センサ / pn接合 / フォトダイオード / ライフタイム / 分光感度 / OCVD法 / 熱拡散 |
研究実績の概要 |
IoTや自動車の自動運転用途などで今後最も需要が高まるセンサの一つに高感度赤外センサがある。従来の InGaAsやHgCdTeの光電型センサは希少元素や毒性の高い元素を含むため、資源・環境面から見て数百万~数億個といった市場での大量使用には適していない。そこで本研究は、地殻中資源量が豊富で毒性の無いマグネシウムシリサイド (Mg2Si)を用いて、資源・環境リスクに対応し、低価格かつ大量使用可能な赤外センサを実用化することを最終目標に主要課題の1【結晶成長】、2【薄膜】、3【デバイス】について研究を行う。 2018年度の課題1では前年に引き続きMg2Si基板結晶中の欠陥の低減について主に研究を行った。その結果、成長後のIn-situ熱処理でもキャリア濃度が変化することがわかった。また、ルツボ材との濡れ性の改善についても取り組んだ。課題2ではスパッタによる成膜のほか、安価な拡散プロセスによる高品質p型層の形成について取り組んだ。課題3では前年度に引き続きフォトダイオードの試作評価を行った。p型Mg2Si層の電子親和力を評価し、これを考慮することで従来より高い感度を持つリング状電極およびメッシュ状電極のフォトダイオードを試作できた。また、低温で分光感度やI-V特性を評価し、低温で高い比検出感度が得られることを明らかにした。さらにOCVD法による少数キャリアライフタイムの評価を行った。これらの評価の結果、結晶中の深い準位が分光感度や比検出感度に影響を与えていることが示唆された。2019度は、深い準位を含めた結晶欠陥の低減により、より高感度なフォトダイオードを試作するとともにイメージングアレイ化の要素研究を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
概要で述べた主要課題の1【結晶成長】、2【薄膜】、3【デバイス】の各項目について、当初の計画に沿った実験を行うことができ、概要に述べたとおりの成果が得られている。このため、研究は概ね順調に進んでいると考える。
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今後の研究の推進方策 |
2019年度は課題1 Mg2Si高品質結晶の大型化、課題2 熱拡散層でのpn接合特性の改善(底暗電流化)。課題3 Mg2Siフォトダイオードの開発では、イメージングアレイ化の要素研究を行う。基板の大型化では、結晶成長時のルツボからの応力を低減し、小傾角粒の発生を抑える技術開発に取り組む。また、深い準位を形成すると考えられる金属不純物元素の定量評価とその抑制に取り組む。また、キャリアライフタイムの改善や深い準位の低減によって、比検出感度を従来比で1桁以上向上させる。フォトリソグラフィープロセスによってイメージングアレイ化にも取り組む。
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