研究課題
有機電界効果トランジスタ(有機FET)を用いた有機電子デバイスの実用化において塗布、印刷プロセスを用いた有機FETの高性能化や不揮発性メモリの開発が求められている。2019年度は、可溶性低分子半導体を用いたトップゲート有機FETの高性能化や動作機構解析を中心に研究を進めた。C12-BTBTを用いたチャネル長5 umの素子で2 cm2/Vs程度の実効移動度を得ることが可能となったが、飽和領域では0.4 cm2/Vs程度まで低下することが分かった。可溶性ペンタセンを用いた短チャネル素子との違いを等価回路モデルから解析し、高移動度化した際にはソース電極での電圧降下が大幅に増加し、実効的なゲート電圧が減少することで飽和領域の移動度低下が生じることを明らかにした。また、塗布型nチャネル有機FETの高性能化を目的として、可溶性フラーレン誘導体を用いた短チャネル素子に対するポリエチレンイミン(PEI)電子注入層の効果を調べた。その結果、PEIが電極/有機半導体界面の電子ドープ層として働くことで接触抵抗が大幅に低下し、チャネル長5 umで0.9 cm2/Vsの実効移動度が得られることが分かった。有機FETメモリ研究においては、前年度に開発した光機能性を有する塗布型有機フローティングゲートFET(有機FG FET)を用いてメモリアレイを作製し、イメージセンサとしての応用可能性を調べた。作製したメモリアレイは可視光に対して高い受光感度を示し、金ナノ粒子を用いた従来のFG FETメモリを同等かそれ以上の特性均一性が得られた。紙面上に印刷したストライプパターンの画像取得を検討した結果、記録した情報からイメージを再現できることが分かった。また、暗状態で動作する有機FG FETメモリの開発も進め、前年度の課題であった消去後のオフ電流の増加をゲート電極の仕事関数制御から抑制できる事を明らかにした。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (32件) (うち国際学会 15件、 招待講演 1件)
日本画像学会誌
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Japanese Journal of Applied Physics
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