研究課題
平成29年度は、長波長帯トランジスタレーザの高速電圧変調動作に向けて計算と実際の作製の両面から取り組んだ。まず計算においては、これまで光の観点と電気の観点のそれぞれから理論計算を行ってきたが、この2つを同時に考慮することにより、より正確な理論性能の検証を目指した。その結果、コレクタ/ベース間の接合容量が、速度の律則となるとともに、著しく光出力特性に影響を与えることが分かった。これは、接合容量のため、キャリアの充放電が過渡的に発生し、活性層に注入されるキャリアの量を多く変えるためであると予想され、接合容量を低減した構造での計算結果では良好な特性を得ることができることが分かった。次に実際に素子を作製し、電圧変調構造を測定した。この段階では接合容量の低減は行わず、理論との比較を目的として行った。高周波特性の向上を目的として金ワイヤではなく直接高速プローブを素子に落とす形とした結果、7GHz以上の小信号帯域を得ることができた。一方で大信号測定では、大きなパルス遅延などが見られたが、計算による結果と完全に一致することが確認されたため、接合容量の低減を行うことで、改善が得られることに強い自信を持つことが可能となった。また、これまでの素子は動作温度として40°Cまでしか動作しなかったが、メッキの導入などを行うことによって長波長帯トランジスタレーザでは最高温度となる80°C以上の発振を得ることに成功した。来年度以降は接合容量の低減素子を作製していく予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初の予定である変調特性に関する理論と実測の一致を完全にみることができた。また、世界最高動作温度を実現することができたため。
接合容量低減素子の作製のため、関連する装置(端面反射膜形成装置、スクライバ装置)の早期の立ち上げを行うことによって、素子作製を短期に行うことを目指したいと考えている。
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すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 12件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (63件) (うち国際学会 33件、 招待講演 8件) 備考 (1件)
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