研究課題/領域番号 |
17H03253
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
黒木 伸一郎 広島大学, ナノデバイス・バイオ融合科学研究所, 准教授 (70400281)
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研究分担者 |
大島 武 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 上席研究員(定常) (50354949)
牧野 高紘 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 高崎量子応用研究所 先端機能材料研究部, 主任研究員(定常) (80549668)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 極限環境エレクトロニクス / シリコンカーバイド / CMOS集積回路 / MOSFET / 耐放射線 / 耐高温動作 / 廃炉技術 |
研究実績の概要 |
本研究では、高周波駆動:>100 MHz、耐放射線性(ガンマ線):> 2 MGy (200 Mrad)をもつ4H-SiC 集積回路のためのMOSFETsを実現する。この動作に必要なデバイス・プロセス・材料研究を行い、順次4H-SiC回路として実現する。4H-SiC MOSFETsの100 MHzの高周波動作を実現するためには3つの要素を同時に達成しなくてはならない:1.セルフアライン・プロセスによるゲート-ソース、ゲート-ドレイン間の寄生容量低減、2.4H-SiC MOSFETsの短チャネル化(サブミクロン・デバイス化)、3.反転層キャリア移動度の向上。 これに対応して、2017年度は、主に次の(1)~(2)の要素の研究を推進した。(1) 高周波動作を実現するための、セルフアライン・プロセス埋め込みゲート構造によるセルフアラインMOSFETsの実現、および短チャネル化とチャネル・エクステンション構造による短チャネル効果抑制、(2) チャネル移動度向上の研究として異種元素導入によるゲート絶縁膜/SiC界面制御. セルフアライン・プロセス埋め込みゲート構造を実現して、4H-SiC nMOSFETsの寄生容量の従来の最大1/220まで低減することに成功した。またデバイスの短チャネル化を行い、プレーナ型MOSFETsにおいては、チャネル長2μm以下では、閾値電圧低下などの短チャネル化が顕著に発生するのに対して、本研究で提案のセルフアライン・プロセス埋め込みゲート構造においては、ほぼこの短チャネル効果が抑制されることを示した。異種元素導入によるゲート絶縁膜/SiC界面制御の研究においては、ゲート絶縁膜/ 4H-SiC界面にBa原子もしくはフッ素原子を導入することで、電子電界移動度の向上およびゲート絶縁膜の信頼性向上を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初予定では、平成30年度以降に4H-SiC nMOSFETsで構築した新しいセルフアラインプロセスを4H-SiC pMOSFETsへの導入するとしていたが、平成29年度に前倒しで導入し実証を行い、研究を進めた。またこの新プロセスを用いたCMOSデバイスの構築を進めている。
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今後の研究の推進方策 |
埋込ゲート構造によるセルフアライン4H-SiC MOSFETsに、界面制御した酸化膜を導入することで、セルフアライン・プロセスで、短チャネル、高移動度をもつデバイスを実現し、100 MHz以上の高周波駆動を目指す。昨年度に引き続き、(1) 高周波動作を実現するための、セルフアライン・プロセス埋め込みゲート構造によるセルフアラインMOSFETs、および短チャネル化とチャネル・エクステンション構造による短チャネル効果抑制、(2) チャネル移動度向上の研究として異種元素導入によるゲート絶縁膜/SiC界面制御、の研究を進める。特にこれらを組み合わせて短チャネル化とゲート絶縁膜/SiC界面制御による電流駆動能力を向上を行う。4H-SiC nMOSFETsと4H-SiC pMOSFETsを同一基板上に作製することで、CMOS化を行う。高周波駆動評価のために、論理インバータを多段で組んだリングオシレータ回路を作製し、評価を行う。セルフアライン4H-SiC MOSFETsへのCo60ガンマ線照射実験は、国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構(量研機構)量子ビーム科学研究部門 高崎量子応用研究所のCo60ガンマ線照射施設を用いて行う。また極高温動作実験を実施する。
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