研究課題/領域番号 |
17H03260
|
研究機関 | 電気通信大学 |
研究代表者 |
松浦 基晴 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 准教授 (40456281)
|
研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
|
キーワード | 光ファイバ無線 / 光ファイバ給電 / ダブルクラッド光ファイバ / 光ネットワーク / 無線通信ネットワーク / 無線基地局 |
研究実績の概要 |
本研究では、将来の無線通信ネットワークのための光ファイバ無線伝送において、無線基地局を光ファイバ回線を用いた光電力給電によって、駆動する独自の光ファイバ給電技術をもとに、実利用を想定した高度化を行うことを目的としている。とりわけ、給電能力については、従来技術の100倍を越える能力をターゲットとして研究開発を進め、その有効性を明らかにすることがねらいである。 今年度については、主に、1. 実利用を想定した多チャンネル信号と光電力の同時伝送、2. 光電力伝送効率の向上を中心に研究開発を行った。 1. については、将来の光ネットワークにおいては、無線通信系のデータとインターネット加入者網へのデータが混在するデータ伝送が主流になると考えられている。このため、波長の異なる光アナログ信号とデジタル信号を多重させた伝送路において、同時に60 Wを越える光電力伝送を行い、その伝送特性の評価を行った。また、これまでは、伝送した光電力はそのままの状態であったが、電気電力での駆動を想定し、複数の光電変換素子によって、光電力を実際の電気電力に変換することに成功した。伝送特性についても全ての伝送信号において、高い伝送特性が得られることを明らかにした。 2. については、これまでに伝送系では、ファイバ伝送後の給電光の電力の取り出しに、構成上、漏れ成分が多く存在していた。これを改善するために、新しい光分波回路を設計した。詳しい性能評価については、来年度の研究課題となるが、従来の系と比較して、光電力伝送効率の大幅な向上が期待出来る。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
独自の光ファイバ給電技術を用いて、実利用環境に近い、多チャンネル信号伝送および7 Wの電気電力への変換を実現することに成功した。この成果は、光ファイバ通信分野で最も権威ある国際会議OFCにおいて、各カテゴリ内で最も査読審査得点の高かったTop Scored論文に選出されている。また、日刊工業新聞での報道発表もあり、本研究資金を活用した実証実験においては、提案技術の有効性を国内外に広くアピールすることが出来た。また、本研究課題に沿った研究計画も順調に進んでおり、来年度においても十分な研究成果が達成出来る準備が既に整いつつある状況である。
|
今後の研究の推進方策 |
新年度の実証実験む向けた準備として、伝送系の設計・試作なども順調に進んでおり、研究計画に沿った開発を順調に進められる準備も整っている。特に大きな研究計画の変更はなく、研究を予定通り遂行していく予定である。
|