本研究では、将来の無線通信ネットワークのための光ファイバ無線伝送において、無線基地局を光ファイバ回線を用いた光電力給電によって、駆動する独自の 光ファイバ給電技術をもとに、実利用を想定した高度化を行うことを目的としている。とりわけ、給電能力については、従来技術の100倍を越える能力をターゲッ トとして研究開発を進め、その有効性を明らかにすることがねらいである。 これまでの本研究を総括して、以下の成果を達成した。 給電電力については、最大出力150 Wまでの給電系を構築し、これを用いた信頼性および電力伝送特性評価を行った。これにより、150 Wの光パワー入力においても、温度変化や曲げ耐性において、大きな影響を与えないことを明らかにした。また、電力伝送特性については、光ファイバ給電回路の最適化設計を行い、従来の伝送系と比較して、5%を超える電力伝送効率の改善に成功した。トータルの電力伝送効率においては、受信端で光電力を電気電力に変換する光電変換素子がキー技術となるため、海外半導体メーカーと共同で試作した素子を導入することで、電力伝送効率と最大給電電気電力の向上を行い,世界で初となる1芯の光ファイバでの40 Wを超える電気電力と高速データ通信の同時伝送を実現することに成功した。 これらの成果は既存技術の給電性能を飛躍的に向上したもので、独自技術を用いた光ファイバ給電の高性能化を実証するものである。
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