研究課題/領域番号 |
17H03262
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
西森 健太郎 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (90500611)
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研究分担者 |
廣川 二郎 東京工業大学, 工学院, 教授 (00228826)
平栗 健史 日本工業大学, 基幹工学部, 教授 (90582817)
本間 尚樹 岩手大学, 理工学部, 教授 (70500718)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | Massive MIMO / アナログビーム / ユーザスケジューリング / Robust ICA / CSI推定 |
研究実績の概要 |
第5世代などの将来の高速無線システムにおいては,多ユーザ収容能力を有する無線基地局として有望な技術がMassive Multiple Input Multiple Output (MIMO)である.その実現のカギは伝搬チャネル応答情報 (CSI)の基地局へのフィードバックの削減である.本課題では,アナログマルチビームにより, CSI推定なしで上り・下り回線の双方向のユーザスケジューリングを実現可能なMassive MIMOシステムを提案することを目的として検討を進めた. 2018年度の主な研究実績として,平成29年度に提案した,アナログビームのみを用いてユーザ選択とRobust ICAと呼ばれる,4次モーメントを用いて尖度を最大化することで残留干渉を低減する手法に関し,実際のシステムを用いた評価を行うことでその有効性を確認した.具体的には,LTEベースの通信効率を評価したところ,64素子のDigital Beam Formingの通信効率は50%程度しか得られないに対し,提案システムでは90%近くの通信効率を実現できることを示した.また,通常から提案されているサブアレー型の構成よりも物理層での伝送レート,スループットの両方の観点から有効であることを示した. これらの成果は,IEICE Trans. Communications等の論文誌に投稿し,採録を受けた.査読付論文5件,査読付国際会議12件,口頭発表36件という形でアウトプットを出している.また,国内の展示会等で提案システムの効果に関するデモンストレーションを行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現在までの研究進捗状況は予定以上に進んでいる.具体的には,査読付論文5件,査読付国際会議12件,口頭発表36件という形でアウトプットを出しているように,アナログマルチビームの構成,アナログビームによる上り・下り回線のユーザの選択法,残留干渉をCSI推定なしで低減する手法はすでに提案できており,計算機シミュレーションベースによる効果は十分に達成できている.2018年度内でも,屋外実環境における測定は実施しており,基本特性は把握できている.2019年度はこれらの結果を実システムでの評価につなげて評価を行い,総合的な性能をまとめる予定となっている.また,分担研究者とも密に連絡を取り,2~3か月に1回,進捗報告会を開催しているため,プロジェクトの全体的な進捗も問題なく進められている.すなわち,論文化するための詳細な計算結果や実験結果は,今後,データの蓄積をする必要があるが,残り1年の研究期間で進める研究課題のためのベースとなっている.計算機シミュレーション上では,実システムでの有効性も確認できており,研究の基礎アイデアはすべて確立できたと考える.また,国際学会発表や展示会などの対外的なアピールも研究成果として残すことができた.ただし,ビームの最適化に関する検討が不足しており,その観点と実システムとの有効性の確認が課題として残っているので早急に進める予定である.
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今後の研究の推進方策 |
研究課題に対する今後の研究推進方策は,2018年度までに提案した内容と計算機シミュレーションによる特性評価から得られた知見をもとに,令和元年度は研究を進めていく予定である. 令和元年度のメインの検討として,すでに取得した屋内および屋外実環境において提案法の実システムでの効果を検証することである.すでに評価するために必要なハードウエア(マルチビーム回路,送受信装置,アナログビーム選択回路,ベースバンド受信機)はすでにそろっているため,さらに,評価において足りない部分は追加実験を行うことでその有効性を検証する. 2019年度のもう一つの検討として,ビームの最適化に関する検討が不足している.一部評価は完了しているので,この結果をこれまでの結果に反映させる.これらの研究成果は学会発表および,査読付論文化を早急に進めることを予定している.
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