研究課題/領域番号 |
17H03263
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
八木谷 聡 金沢大学, 電子情報学系, 教授 (30251937)
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研究分担者 |
尾崎 光紀 金沢大学, 電子情報学系, 准教授 (70422649)
井町 智彦 金沢大学, 総合メディア基盤センター, 准教授 (60372489)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | ポインティングベクトル計測 / 高周波電磁界センサ / メタサーフェス / 電磁界エネルギー / 電磁環境計測 |
研究実績の概要 |
1. メタサーフェスによる磁界分布検出手法の検討 入射電波の磁界成分を検出するためのメタサーフェス板として、裏面にグランド層を持つ誘電体基板の表面に直交3軸(x, y, z)方向を向いたループを配列して磁界ベクトル成分(Hx, Hy, Hz)を検出する構造を考案した。電磁界シミュレーションにより、適切なループサイズや配列間隔等を検討した。それぞれのループは抵抗で終端し、ループ面を鎖交する磁界成分により生じる電圧を計測できるようにした。 2. 磁界分布検出メタサーフェス板の設計・試作・評価 磁界分布検出メタサーフェス板を設計・試作した。2GHz付近の周波数帯を検出できるように、30cm×30cmの誘電体基板上に10×10組の直交3軸ループを2次元配列した。そのうち6×6箇所(36点)に計測点を設け、それぞれの計測点で3方向のループに生じる電圧を計測することで、磁界ベクトル分布を検出できるようにした。標準ダイポールアンテナから放射された磁界ベクトルを計測し、性能を評価した。 3. ダイポール波源周辺におけるポインティングベクトルの解析 ダイポールアンテナ近傍のポインティングベクトル(電磁界エネルギーの流れ)を理論及び電磁界シミュレーションにより詳細に解析した。波源周辺の3次元空間におけるポインティングベクトルの時間平均(放射電力)及び電磁波の2倍周波数で振動する成分(リアクティブ電力)の振る舞いを調べ、3次元分布として表示・可視化することで、波源近傍に置かれた金属(導電体)等による電磁界エネルギーの乱れを評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
直交3軸ループを誘電体基板上に2次元配列することで、高周波磁界ベクトルを検出できるメタサーフェスの構造を新たに考案した(特許出願予定)。2GHz付近の周波数に対して磁界ベクトル分布を検出できるメタサーフェス板を設計・試作して計測性能の評価を行い、先行研究により開発していた電波の電界分布検出メタサーフェスと同等強度の入射電波に対し、その磁界分布を計測できることを確認した。 また、ダイポールアンテナ周辺の3次元空間における電磁界及びポインティングベクトルの分布を、リアクティブ近傍界を含め詳細に解析・可視化し、近傍に置かれた金属板等の影響を定量的に評価した(関連して、波源周辺電磁界の効果的な可視化手法についての特許を出願した)。
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今後の研究の推進方策 |
磁界分布検出メタサーフェス板に、電界を検出する機構を組み込み、電磁界ベクトル6成分を同時に検出できるメタサーフェス板の構成を検討する。それにより、ポインティングベクトルの分布を計測できるシステムを構築する。 併せて、波源(アンテナ)近傍に生じるポインティングベクトルをさらに詳細に解析する。特に周辺の物体(導電体、誘電体、磁性体)との間に生じるポインティングベクトル分布を評価することで、波源と周辺物体との電磁的結合をエネルギーの流れの観点から理解する。 以上により、電磁波エネルギーの発生、蓄積、伝搬を包括的に評価する電磁環境計測手法を確立することを目指す。
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備考 |
・展示会に出展:CEATEC Japan 2017、幕張メッセ(2017年10月5~6日)、「電波可視化シート~その場の電波が見える~」
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