研究課題/領域番号 |
17H03267
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
貴家 仁志 首都大学東京, システムデザイン研究科, 教授 (40157110)
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研究分担者 |
渡邊 修 拓殖大学, 工学部, 准教授 (30384697)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 信号処理 / 画像圧縮 / 暗号化 / SNS |
研究実績の概要 |
ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)の普及により,膨大な数の画像がネットワークを通じて 共有・流通されている.これに伴い,画像のプライバシー保護技術が注目を集めている.本研究の目 的は,ユーザー自身が画像のプライバシー情報を制御し,保護することを実現するために,知覚暗号化という新しい暗号化法に基づいたプライバシー保護技術を開発することである。 昨年度は,SNSで最も広く使用されている静止画像の国際標準規格JPEGの使用を想定した知覚暗号化法を開発した。また、その開発した方法に対する安全性を、悪意を持った各種の攻撃を想定して評価した。攻撃法としては、従来の暗号化法に対する攻撃に加えて,ジグゾーパズル解法と呼ばれる.暗号化とは別分野で考案された手法を暗号化データに相関を残す知覚暗号化に対する攻撃と捉え,安全性を理論的・実験的に評価した.さらに。各種SNSに提案法を適用し、SNS上での画像加工に対する評価実験も行った。その成果を2件の学術論文、3件の国際会議論文として公表した。評価実験の結果は、概ね良好なものであったが、JPEG圧縮時に色差間引きが施された場合に、再生画像に歪が発生する場合があることが新たに明らかとなった。 以上の研究の理論的考察及び展開に加え、画像圧縮の国際情報委員会(JPEG委員会)にも参加し、情報の収集と、研究の方向性に関して専門家と意見交換を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度は,SNSで最も広く使用されている静止画像の国際標準規格JPEGの使用を想定した知覚暗号化法を開発した。また、その開発した方法に対する安全性を、悪意を持った各種の攻撃を想定して評価した。攻撃法としては、従来の暗号化法に対する攻撃に加えて,ジグゾーパズル解法と呼ばれる.暗号化とは別分野で考案された手法を暗号化データに相関を残す知覚暗号化に対する攻撃と捉え,安全性を理論的・実験的に評価した.さらに。各種SNSに提案法を適用し、SNS上での画像加工に対する評価実験も行った。 その結果、安全性については、最先端のジグゾーパズル解法においても十分な耐性を提案法が有することを確認することができた。さらにSNSに本手法を適用した場合にも、SNSが施す画像加工に対して有効であるこを確認した。これらの評価実験の結果は、概ね良好なものであっり、学術論文誌やトップ交際会議においてその成果が認められ、学術的成果として発表することができた。しかし、JPEG圧縮時に色差間引きが施された場合に、再生画像に歪が発生する場合があることが判明し、解説すべき新たな課題が明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度の手法の提案及び評価実験の結果は、概ね良好なものであったが、JPEG圧縮時に色差間引きが施された場合に、再生画像に歪が発生する場合があることが明らかとなった。このことを踏まえて、今年度は、色差間引きの影響を回避可能なように、暗号化法を改善・拡張することを主な目的とする。 さらにその拡張においては、安全性の向上についても同時に考察する予定である。またSNSへの適用に加え、フォトクラウドなどへの適用を想定し、提案法の有効性を評価する。JPEG圧縮法の使用に加え,動画像圧縮のための国際標準圧縮に対しても有効な知覚暗号化法の検討を進める計画である.新しい研究成果は、国際会議などで発表し、積極的に公開していく計画である。
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