ソーシャル・ネットワーク・サービス(SNS)の普及により,膨大な数の画像がネットワークを通じて共有・流通されている.これに伴い,画像のプライバシー保護技術が注目を集めている.本研究の目的は,ユーザー自身が画像のプライバシー情報を制御し,保護することを実現するために,知覚暗号化という新しい暗号化法に基づいたプライバシー保護技術を開発することである. 本研究ではこれまで、静止画像の国際標準規格JPEGの使用を想定した知覚暗号化法に対して,ジグゾーパズル解法を含む種々の攻撃に対する耐性評価と,SNS上での画像加工に対する評価実験を行った.その評価実験から、JPEG再圧縮時の色間引きの影響を受けてしまうことが判明し,その影響を受けない知覚暗号化法を新たに開発した.その成果を世界のトップ学術論文,トップカンファレンス論文として公表した.最終年度では、これまでの成果をまとめ論文として投稿すると同時に、積極的に2回の招待講演や国際カンファレンスでの3回の基調講演を引き受け、成果の公表に努めた。 さらに、これらの研究を通して圧縮可能でありかつ機械学習において学習可能である暗号化の知見を得ることができ、新しい研究展開のスタートを切ることができた。また画像圧縮の国際情報委員会(JPEG委員会)にも参加し,情報の収集と研究の方向性に関して専門家と意見交換を行った.
|