研究課題
近年、新型インフルエンザや口蹄疫などのウイルス感染症のパンデミック(地球規模での流行)が大きな脅威となっており、その拡大を水際で食い止める迅速・簡易な遺伝子診断(以下、DNA診断)技術の開発が喫緊の課題となっている。本研究では、研究代表者(末廣)が世界に先駆けて開発に取り組んでいるDNA修飾マイクロビーズの誘電泳動現象を利用したDNA診断技術を、進行波電界を利用した新しい検出原理に基づき更に高感度化すると同時に、極微量の生体関連物質を電気的に簡便・迅速に検出する計測原理の確立を目指した。主な研究実績は下記の通りである。(1)DNA修飾した多数のマイクロビーズに進行波電界を印加したときの挙動を同時に顕微鏡下で観察し、個々のマイクロビーズの速度変化を画像解析により定量化するシステムを開発した。(2)上記のシステムを用いて、マイクロビーズのDNA修飾量と進行波誘電泳動によるマイクロビーズの運動速度の関係を統計的に解析した。(3)上記の解析結果から、マイクロビーズのDNA修飾量の増加に伴い進行波誘電泳動によるマイクロビーズの運動速度が増大することを明らかにした。これは理論的な予測とほぼ一致する結果である。(4)提案手法によるDNA検出感度は、マイクロビーズのDNA修飾量が100DNA/ビーズであった。これは、研究代表者らのグループが過去に開発したDNA修飾マイクロビーズの正の誘電泳動を利用する手法に比べ、約1000倍の感度である。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2020 2019
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 1件)
AIP Advances
巻: 10 ページ: -
10.1063/1.5129725
Biomicrofluidics
巻: 13 ページ: -
10.1063/1.5124419