複数の動的システムの相互作用によって,大域的な機能を発現するシステムを「ネットワーク化制御システム」という.制御工学の分野では,センサネットワーク,スマートグリッド,ビークルの自動運転などへの関心の高まりを背景に,今世紀に入って,ネットワーク化制御システムが主要な研究対象に成長してきている.一般に,ネットワーク化制御システムは,構成要素の特性に相当する「要素ダイナミクス」と,つながりに対応する「ネットワーク構造」の組だと考えられる.このとき,システムの規模が大きくなるに従って,個々の構成要素の情報を得るのが困難になることが知られている.それゆえ,「構成要素が未知だったとしても,システム全体の安定動作を100%保証するネットワーク構造(つながり)は何か?」が重要な問いとなる.
本応募課題では,絶対安定化ネットワーク構造の設計理論を確立することを目的としている. これに対し,本年度の成果は以下の通りである.(1)システム内の初期状態の総和を構造的に保存するネットワーク構造の検討を行った.(2)多数決プロトコルの構造的性質を調べるための基礎的成果を得た.(3)最終年度として本研究の総括を行った.
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