研究課題/領域番号 |
17H03289
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研究機関 | 金沢工業大学 |
研究代表者 |
宮里 心一 金沢工業大学, 環境・建築学部, 教授 (60302949)
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研究分担者 |
上原子 晶久 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (70333713)
大野 健太郎 首都大学東京, 都市環境科学研究科, 助教 (80571918)
花岡 大伸 金沢工業大学, 環境・建築学部, 講師 (90751529)
大嶋 俊一 金沢工業大学, バイオ・化学部, 准教授 (30367453)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 鉄筋コンクリート / 塩害 / 点検 / 補修 |
研究実績の概要 |
鉄筋コンクリート(RC)の塩害に対する維持管理として、様々な点検や補修補強が実用されている。しかしながら、各方法は個別に適用され、また点検と補修補強の工程は独立している。そのため、二度の仮設足場費や人件費を要し非経済な場合がある。以上の背景を踏まえ、初年度の研究では、先ずは塩害による腐食と、それに伴い低下する鉄筋とコンクリート間の付着を、電気と弾性波を組み合わせた非破壊検査で推定する方法の開発に取り組んだ。すなわち、自然電位法と分極抵抗法により腐食範囲を特定した上で、鉄筋周囲の微細ひび割れ進展を弾性波トモグラフィ法により推定する検査法の構築に取り組んだ。具体的には、3本の鉄筋を埋設したコンクリート供試体に対して、外観目視ではひび割れが観測されない程度に腐食させ、実験に供した。その後、付着強度を測定し、その低下を推定するモデルの提案を試みた。その結果、腐食の進行が進むほど、自然電位は低下し、分極抵抗も減少した。また、鉄筋周囲の超音波速度も低下した。さらに、付着応力度も減少した。なお、超音波速度と付着応力度の関係は、本実験の範囲では比例した。以上のことから、非破壊試験の組合せで、腐食による内部ひび割れを捉えて、コンクリートとの付着を推定できる可能性が示唆された。 また、点検と同時に簡易な補修が可能な表面含浸工法に着目し、その適用可能性を実験的に検討した。初年度の研究では、けい酸塩系表面含浸工法に注目し、化学的腐食させたコンクリート供試体を用いて、実験的に検討した。特に、化学的作用を受ける前の予防保全と、受けた後の事後保全を区分して、その補修効果を試みた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
5名の研究者が金沢工業大学に参集し、実験計画を確認した上で、各研究者が分担して、実験・解析を推進している。その内の電気化学的点検と、弾性波トモグラフィー法による点検に関しては、研究代表者の宮里と分担者の大野が連携を図りながら、同じ供試体に対して測定に取り組んでいる。この様な協力体制が整い、科研費の研究目的を達成すべく初年度の活動を推進できたため、順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き5名の研究者で協力しながら、当初の計画に沿って、熱心に研究活動を推進する。なお、それぞれの得意とする研究を推進できる設備・環境を相互に確認するため、研究者が参集する場は研究代表者の宮里ならびに分担者の大嶋と花岡が所属する金沢工業大学に固定せず、分担者の上原子の所属する弘前大学や、大野の所属する首都大学東京でも今後は開催する。これにより、各分担者の実験を見学し、1年度目以上に有効な意見交換・情報共有を図る。 また、初年度に実施した研究成果を取り纏め、学会等へ積極的に投稿・発表し、社会での実用化に向けて公開する。
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