研究課題/領域番号 |
17H03298
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
松田 浩 長崎大学, 工学研究科, 教授 (20157324)
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研究分担者 |
佐々木 謙二 長崎大学, 工学研究科, 助教 (20575394)
奥松 俊博 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (30346928)
中村 聖三 長崎大学, 工学研究科, 教授 (40315221)
西川 貴文 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (50512076)
森田 千尋 宮崎大学, 工学部, 教授 (60230124)
伊藤 幸広 佐賀大学, 理工学研究科, 教授 (90223198)
山口 浩平 長崎大学, 工学研究科, 准教授 (60336013)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 3D写真計測 / 3Dレーザスキャナ / 画像解析 / たわみ計測 / ひずみ計測 / デジタル画像相関法 / 構造同定 / ひび割れ図化システム |
研究実績の概要 |
本研究は、目視点検ですら容易でない海洋渡海橋や仮設足場の設置が困難な跨線橋や跨道橋等を対象とし、これまで開発・実用化されてきた3次元写真計測(SfM:Structure from Motion)、3Dレーザスキャナ、無人飛行体(UAV、ドローン)、ギガピクセル画像、画像解析技術などの種々のICRT技術を活用・発展させ、従来手法よりも効率的、効果的で、低コスト、高信頼性を有する橋梁点検手法を提示するとともに、それえらの計測方法のフィールド実証試験を実施し、有効性と有用性を検証し、将来的には近接目視点検の代替となり得るような橋梁点検手法の開発を目標として、国土交通省九州地方整備局長崎河川国道事務所管理の撤去桁である高縄手橋(長崎県大村市)を対象として現場計測載荷試験・現場計測を実施した。 具体的には、従来手法よりも効率的、効果的で、低コスト、高信頼度の橋梁点検の要素技術として、(1)デジタル写真による橋梁たわみ計測法、(2)デジタル画像相関法(DICM)による鋼部材き裂検知法の使用法や精度を検証するとともに、さらに、橋梁維持管理システムとして、(3)鋼橋の塗膜劣化やボルト抜落ち、コンクリート橋のひび割れや浮き・剥離などを付与した3次元外観劣化情報システムの構築、(4)実計測による剛性および振動特性野評価と、3D有限要素解析によるリスク評価に基づく橋梁モニタリング手法を構築し、現場フィールド試験を実施し有効性と有用性を検証した。 特に、(1)デジタル写真による橋梁たわみ計測法に関しては、2種類のカメラレンズを用いて計測距離40m~100mでの計測結果の精度および有用性を検証した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)国土交通省九州地方整備局長崎河川国道事務所管理の撤去桁である高縄手橋(長崎県大村市)において、デジタル写真による橋梁たわみ計測法、サンプリングモアレ法を用いて従来の変位計による計測法と比較し十分の精度が得られることを確認した。また、高縄手橋において、3Dレーザースキャナと3D写真計測を用いて、3D形状計測を実施し、その結果を比較検討した。さらに、コンクリートのひび割れ画像から、木構造フィルタと機械学習を用いてひび割れ自動抽出・描画システムを構築した。 (2)デジタル画像計測法(DICM)による変位及びひずみ計測法の精度を検証するために、RCはり試験体を製作し曲げせん断試験を実施し、従来の変位計およびひずみゲージにより得られる変位、ひずみ値と比較検討し、計測結果は同等であることを確認した。 (3)水無川橋(鋼トラス橋)では、加速度計、LDV、無線LAN速度計を用いて振動計測し、三者はいずれも同じ計測値であることを確認するとともに、3Dレーザー計測データを用いて3D-FE解析モデルを作成し、FEM解析を実施し構造同定を行った。また、蒲生田橋(PC橋)では、ラフタークレーン載荷前後のたわみを上記(1)の手法により実施するとともに、3D写真計測により得られた3Dデータを用いてFE解析モデルを作成し、有限要素解析を実施し、実験結果と解析結果がほぼ一致することを確認した。 (4)デジタル写真による橋梁たわみ計測法に関しては、2種類のカメラレンズを用いて計測距離40m~100mでの計測結果の精度および有用性を検証し、高精度で計測することができ、1回の計測ごとの計測値のバラツキは比較的少なく安定していることを確認した。 平成29年度は以上ような実証試験を実施し、本研究はほぼ順調に進呈していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
これまで提案している次の新しい計測法、(1)デジタル写真による橋梁たわみ計測法、(2)デジタル画像相関法(DICM)による劣化情報検知、(3)鋼橋の塗膜劣化やボルト抜落ち、コンクリート橋のひび割れなどを付与した3次元外観劣化情報システム、(4)実計測による剛性評価と3次元有限要素解析によるリスク評価に基づく橋梁モニタリング手法、について、従来計測手法と比較することにより、これらの手法が効率的、効果的で、低コスト、高信頼性を有する橋梁点検手法であることをフィールド実証試験において検証する。さらに、フィールド実証試験で取得されたデータの解析と分析を行い、本研究の有効性と有用性を検証する。 また、国土交通省九州地方整備局長崎河川国道事務所管理の撤去桁である高縄手橋の切断桁の載荷試験を実施し、その際これまで提示している新しい計測法と従来の計測を用いての計測実証試験を実施し、撤去橋梁の耐荷力を有限要素解析により検証し、経年劣化を有するRC桁の耐用年数と剛性評価法などの基礎データと蓄積する。 さらに、現在の橋梁点検手法では、コンクリートの“うき・はく離”はたたき試験による打音検査により実施されている。本研究で実施する方法では、“うき・はく離”は検知できない。したがって、SIPインフラやNEDOや国交省建設技術開発研究助成等で開発された計測方法を用いてフィールド実証試験を実施し、将来的には近接目視点検の代替となり得るような橋梁点検手法の開発を目標として研究を推進する。
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