研究課題/領域番号 |
17H03299
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
伊津野 和行 立命館大学, 理工学部, 教授 (90168328)
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研究分担者 |
五十嵐 晃 京都大学, 防災研究所, 教授 (80263101)
酒井 久和 法政大学, デザイン工学部, 教授 (00360371)
竹田 周平 福井工業大学, 工学部, 教授 (60511954)
里深 好文 立命館大学, 理工学部, 教授 (20215875)
野阪 克義 立命館大学, 理工学部, 教授 (50373105)
石田 優子 立命館大学, 総合科学技術研究機構, 研究員 (50710612)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 構造工学 / 洪水 / 橋梁 / 防災 / 土石流 |
研究実績の概要 |
まず,紀伊半島大水害,九州北部豪雨,東北地方太平洋沖地震の災害時における橋台周りの地盤被害,特に背面土の流出について,ヒアリング,現地調査および被害事例収集を実施し,情報の整理と課題の抽出を行った.そのうえで,2017年九州豪雨による橋の被害調査を行った.流出したJR九州の花月川橋や日田市の夜明橋をはじめ,流出を免れた橋梁も数多く見て回った.また,台風21号による南海電鉄男里川橋梁の被害調査も実施した.比較的軽い橋の揚力対策と,古い無筋橋脚の補強が喫緊の課題であることを再認識した. 次に,橋梁周辺流れの軽減に関する研究実績について述べる.洪水による橋梁の流出を防ぐ対策として,桁側面にフェアリングを設置することによって流体力を軽減させる方法がある.しかし,実際の適用にあたっては,施工上の条件などによって必ずしも側面全体に設置できるとは限らない.本研究では,部分的にフェアリングを設置した場合の流体力軽減効果について,実験的および数値解析的に検討を行った.その結果,フェアリングで側面の75%を覆うことで,側面全体を覆う場合と同等の効果を得られる場合のあることがわかった.ただし,鉛直方向の投影面積が増える影響で,流体力が大きくなると揚力の軽減効果が見込めない場合もあった. 最後に,漂流物の影響に関する研究実績について述べる.河川を流下する流木や,津波遡上時に含まれるがれきを想定した水路実験を試みた.京都の渡月橋(橋梁と木除杭)を縮尺1/50のスケールでモデル化し,実際の用水において自然流下により漂流物を投入した.ここでは,漂流物が橋梁部を通過する本数と,流下させた漂流物の総本数の割合から,木除杭の有無が橋梁部の閉塞性に与える影響を検証した.この結果,木除杭を設置することで,通過率が向上することが明らかとなった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的を達成するため,(1)災害時における橋梁周辺流れの解明,(2)橋梁に対する漂流物の影響評価の2テーマにしぼって集中的に研究するとしていたが,いずれも,当初予定していた検討は一通り行うことができた.さらに,2017年九州豪雨と,2017年台風21号の被害調査も実施することができた.
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り,各研究課題について研究を進めていく.また,各研究分担者の研究成果を持ち寄って共同研究をより進展させる仕組みを考えていきたい.2年目である平成30年度は,初年度の研究成果を参照しつつ研究を発展させ,2年目終了前に研究全体の進捗状況を全員でチェックすることも考えている.当初の計画どおりに進んでいない場合の修正や,新たな研究課題への対応などを,この時期に実施して最終年度に向かう予定である.
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