研究課題/領域番号 |
17H03302
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研究機関 | 長岡技術科学大学 |
研究代表者 |
豊田 浩史 長岡技術科学大学, 工学研究科, 准教授 (90272864)
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研究分担者 |
杉本 光隆 長岡技術科学大学, 工学研究科, 教授 (50196755)
原 忠 高知大学, 教育研究部自然科学系理工学部門, 教授 (80407874)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 液状化 / 年代効果 / せん断波速度 / 三軸試験 / 砂質土 |
研究実績の概要 |
室内試験として,長期間圧密した砂供試体に対して各種力学試験を継続して行っている.2018年度は,豊浦砂(相対密度40%)の1年圧密供試体について,液状化試験結果が得られた.この間,定期的に供試体密度変化の計測,ベンダーエレメントを用いたせん断剛性の評価を行ってきた.その結果,以下のような知見が得られた. 密度変化特性:圧密圧作用後,12時間程度,密になる挙動が,微小ひずみ測定機器において観測された(軸ひずみで0.005%程度).その後はほぼ一定で密度変化はなかった. 液状化強度特性:豊浦砂の長期圧密による液状化までの繰返し載荷回数は,14日圧密以降で上昇した. 微小変形特性:ベンダーエレメントによるせん断剛性の増加は確認できなかった.割線せん断剛性とせん断ひずみの関係は,初期せん断剛性の値は,圧密期間によらず顕著な変化がみられなかったが,弾性ひずみ域が14日圧密以降で増大するような傾向を示した. 原位置地盤調査においては,2007年新潟県中越沖地震で液状化被害のあった柏崎市において,スウェーデン式サウンディング試験を実施した.地震直後に得られたデータとの比較を,換算N値用いて行ったところ,非常によい一致を示したが,予想される液状化層のみに限定すれば,若干のN値の増加が見られる.このN値の増加をどのように液状化強度に反映させるかが今後の課題である.まだ良い結果は得られていないが,室内貫入試験結果を利用すれば,同じ試料で液状化強度と貫入抵抗の関係がどのようになっているか解明できると思われる.今後さらなるデータを蓄積して,検証を行っていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
室内試験においては,数ヶ月圧密した試料を実験するため,実験の失敗は,研究の大幅な遅れに繋がる.液状化試験と微小変形特性試験については,ほぼ順調に試験ケースをこなせたと考えている.豊浦砂相対密度40%供試体については,1年圧密まで成功したので,現在は,他の試料でも同様の傾向が得られるか確認を進めている(結果の一般性の確認).特に,豊浦砂相対密度60%供試体については,2019年度中に4ヶ月圧密までは結果を出したいと考えている. 室内コーン貫入試験においては,実験の失敗もあり(過剰に貫入抵抗が出た),再度圧密を行って確認している状態で,予定より進捗が遅れている.現在は,遅れを取り戻すべく,実験ケースの見直しを行っている. 原位置試験においては,2017年度のニュージーランドと浦安に続いて,柏崎においてデータを取得することができた.取得できたデータも問題なさそうで,現在,詳細な検討を行っている.表面波探査も実施する予定であったが,想定外の事故により,現在,実施できない状態となっている.新たな研究協力者を探すなりして,早急に対応したい.
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今後の研究の推進方策 |
室内試験では,三軸試験装置を用いて,液状化試験と微小変形特性試験を行う.豊浦砂相対密度60%の供試体を対象として,長期圧密(最大4ヶ月)の影響について試験を実施していく(これまでは,豊浦砂相対密度40%と5%カオリン含有豊浦砂(相対密度40%)において,検討を行っている).試験装置に長期圧密試料を設置しているが,毎日,ベンダーエレメント試験による供試体のせん断波速度の計測は続けていく. 室内貫入試験においては,豊浦砂相対密度40%,60%の試料とも,貫入抵抗が過剰に出る結果が得られるなど,データの信頼性に問題が見られる.現在,再圧密を行い,実験数を増やして信頼性の確認を行っているところである. 原位置試験においては,2017年度に実施したニュージーランドでの調査結果での信頼性を確認するため,再試験を行うことを計画している.また,これらのデータは,2年後の年代効果としてもとらえることができる.昨年度,想定外の事故により実施できなかった浦安市での表面波探査についても,研究協力を見つけて実施する予定である. 研究最終年度であるので,得られた結果より,液状化強度の年代効果を評価できる予測図を作成する.縦軸に液状化強度,横軸に時間を取り,室内試験で1年,原位置試験で10年の結果が出るので,それらの整合性を確認する.最終的には,100年後の結果が推定できる予測図とする.
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