研究課題/領域番号 |
17H03303
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
後藤 聡 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (80303395)
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研究分担者 |
檜垣 大助 弘前大学, 農学生命科学部, 教授 (10302019)
林 信太郎 秋田大学, 教育学研究科, 教授 (90180968)
若井 明彦 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (90292622)
佐藤 剛 帝京平成大学, 現代ライフ学部, 教授 (00468406)
土志田 正二 総務省消防庁消防大学校(消防研究センター), その他部局等, 研究員(移行) (20526909)
木村 誇 国立研究開発法人防災科学技術研究所, その他部局等, 特別研究員 (90758559)
北爪 貴史 東電設計株式会社(新領域研究開発推進室), 新領域研究開発推進室, 課長 (20793269)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 斜面崩壊 / 火山砕屑物 / リスクマップ / 噴火史 / 降下テフラ被覆斜面 / 火山灰土 / 化学特性 / 降雨特性 |
研究実績の概要 |
本研究は、火山噴火史・地形発達史の視点により、斜面上に堆積した火山砕屑物等(降下テフラ,火山灰土,火山砕屑岩,風化火成岩,等)の生成・移動過程等の履歴を考察し、降雨・地震により斜面災害が発生する場所や規模を予測できる手法を提案することが目的である。最終的には、流域毎の土砂流出量・土砂到達距離を考慮した斜面災害リスクマップを開発することを目標とし、以下の4つのサブテーマで構成される。(1)火山噴火史および地形発達史の視点から評価した斜面上の火山砕屑物等の層厚分布,(2)斜面上の火山砕屑物等の地盤工学的特性と斜面崩壊,(3)降雨時および地震時の火山砕屑物等の崩壊・流動シミュレーション,(4)火山砕屑物等の生成・移動過程を評価した斜面災害リスクマップの開発 2017年度は,(1)および(2)のサブテーマに焦点を当て複数機関において,阿蘇地域の降下テフラ被覆斜面における豪雨・地震による斜面崩壊の発生場の地形・地質条件,斜面上の火山砕屑物等の層厚分布および地盤工学的特性(物理特性,化学特性,力学特性)などを評価した。 具体的には,阿蘇カルデラ内のテフラ被覆斜面堆積物の重力変形のメカニズム,阿蘇カルデラ内の高野尾羽根溶岩円頂丘における斜面崩壊の履歴,斜面崩壊が発生したすべり面付近の地盤工学的特性(特に粘土鉱物等の風化に注目),熊本地震における南阿蘇村付近の斜面崩壊発生場の要有限要素解析,デジタル化した山中式土壌硬度計による強度の不連続性,火山砕屑物等の流動性に関するスランプ特性等について,明らかにした。 さらに,サブテーマ(3)についても検討を開始し,有限要素解を援用した自然斜面内の地下水位上昇量の簡易予測モデルの提案,およびセル・オートマトンによる流動土砂シミュレーションの予備的解析を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は,地形,地質,火山,地盤等を専門とする研究者により組織されており,分野横断的に火山砕屑物等(降下テフラ,火山灰土,火山砕屑岩,風化火成岩,等)の斜面災害リスクマップの開発を目指す融合研究である。2017年度はサブテーマ(1)(2)(3)について,現地調査,室内実験および解析等を行った。 既に,豪雨による斜面崩壊の発生場の地形・地質条件,斜面上の火山砕屑物等の層厚分布,斜面崩壊が発生したすべり面付近の地盤工学的特性,有限要素解を援用した自然斜面内の地下水位上昇量の簡易予測モデルの提案,およびセル・オートマトンによる流動土砂シミュレーションの予備的解析等を実施できており,申請時の当初計画どおりに順調に推移していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き複数機関において現地調査,室内実験および解析等を行い,サブテーマ(1)(2)(3)について研究をさらに進展させ,サブテーマ(4)火山砕屑物等の生成・移動過程を評価した斜面災害リスクマップの開発を目指す。今後は,近年発生した斜面崩壊(2017年九州北部豪雨での斜面崩壊,2018年大分県耶馬渓での斜面崩壊,2017年大月市での斜面崩壊,等)についても現地調査を実施し,火山砕屑物等における斜面崩壊の発生機構解明の確度を上げることが必要である。 研究実施体制としては,室内試験,現地調査,文献収集等を継続して行うことから,学部学生,大学院生,研究生等を研究協力者として雇用し,効果的に実施していく予定である。
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