研究課題
本研究の目的は、アジアの大都市での実道走行環境で受ける運転ストレスを測定・分析し、道路環境と交通環境が及ぼす運転ストレスと、その潜在的事故リスクの関係を明らかにし、インフラ改良や交通管理手法向上を科学的に下支えすることである。3年目である本年度は、これまでに実施したwebアンケート調査データを用いて、日本、中国、ベトナムにおける運転傾向と交通事故、人格特性などの関係分析を行った。運転傾向については、DBQ(Driving Behavior Quessionaires)を用いており、「アグレッシブ(攻撃的)な行動」、「交通規則違反」「エラー(危険をもたらす可能性がある)」、「間違い(道を間違えるなど危険をもたらす可能性は低い)」の4つの指標がある。人格特性については、10項目からなるTIPI(Ten Items Personality Inventory)を用いており、各項目は5つの特性(外向性、協調性、神経症傾向、勤勉性、開放性)に分類される。年代や事故の経験の有無などでデータをグループ分けをし、それぞれのグループのデータに潜在変数モデルを適用し、それぞれの結果を比較した。分析結果から、過去に事故を経験し、協調性が低い人は、日本、中国、ベトナムのいずれの国でも、アグレッシブな運転を行う傾向があることや、日本人とベトナム人の女性ドライバーのうち勤勉性が高い人は、通常の交通規則違反を犯す可能性が低いことなどが分かった。本研究成果の実務への適用として、本研究で明らかとなったようなアグレッシブな運転行動を行いやすい人格特性を持つドライバーに対して、アグレッシブな運転行動を抑制するような教育や動機付けを行うなどの交通安全施策に役立てることが期待される。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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Journal of the Eastern Asia Society for Transportation Studies
巻: 13 ページ: 43-59
10.11175/easts.13.43