研究課題/領域番号 |
17H03325
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
谷本 圭志 鳥取大学, 工学研究科, 教授 (20304199)
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研究分担者 |
酒井 裕規 神戸大学, 海事科学研究科, 准教授 (20612336)
桑野 将司 鳥取大学, 工学研究科, 准教授 (70432680)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 地域都市計画 / 生活サービス |
研究実績の概要 |
生活サービスの操業難の程度を定量的に評価しうる手法の開発に着手した.当初は,個々の民間企業のデータを用いて評価するアプローチを想定していたが,本研究では地域(自治体)に生活サービスがどの程度維持できるか,また,将来的におけるその見込みがどれほどかを明らかにすることが目的であることから,自治体を単位とし,生活サービスの事業所数を人口やその他の関連指標との関係に基づいて評価するアプローチに変更して検討を進めた.具体的には,一般化線形モデルを用いて,まずは中国地方の小規模自治体を対象としてこれらの関係を特定した.また,「ついで」のしやすさを反映したアクセシビリティ指標の検討を行なった.ネットワーク理論や協力ゲーム理論など,ついでを反映する手法をいくつか比較した上で,協力ゲーム理論を用いた手法を検討した.この理論の中でもシャープレイ値が「ついで」という概念に基づいていることから,その考えをベースとした評価手法を開発した.この成果については,学会に論文の投稿を行い,現在,その審査を待っている状況にある.加えて,資源が十分に活用されていない状況にどのサービスを結合して生産・供給できるかの検討を行なったが,それにはまずサービスがどの時間帯に利用されているのかを明らかにすることが必要である.このため,モバイル空間統計を用いて,その推計手法を検討した.その結果,買い物施設については,ある程度の推計が可能であったものの,その一般性や信頼性については若干の疑問があった.このため,この点について引き続き検討することとした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初に想定していたアプローチの変更はあったものの,かえって一般性が高いアプローチを見出すに至っている.また,「ついで」を反映したアクセシビリティ指標については順調に検討が進み,学会への投稿を行なうことができた.一方,モバイル空間統計を用いた検討についてはデータの限界があることが判明したため,今後の進め方については他のビッグデータの活用など,若干の見直しが必要となる可能性もある.全般的には順調に進んでおり,当初に想定していた研究成果の達成の見込みは十分である.
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今後の研究の推進方策 |
自治体を単位として生活サービスの事業所数を人口やその他の関連指標との関係に基づいて評価するアプローチに変更したが,これにより,この関連指標に「ついで」のしやすさを加えることで,サービスの持続可能性と空間的な集約の関係を直接的に検討できるアプローチを確立するに至った.今後は,このアプローチに基づいて検討を進める予定である.また,サービスの利用時間帯の推計は必ずしも容易ではないことが判明しつつある.このため,この時間帯については既存のデータを用いることや何らかのデータの獲得の機会を待ちつつ,サービスの結合生産をシミュレーションする手法の検討を先に進めておくことが有効であると考えられる.特に,このシミュレーションについてはいくつかのサービスの時空間的な組み合わせを計算するため,組み合わせ爆発に対処できる手法が必要となることが予期される.次年度は,何らかの生活サービスを対象とし,その検討に着手することを考えたい.
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