生活サービスの事業所数を人口やその他の関連指標との関係に基づいて,事業者数を負の二項分布とポアソンモデルによる一般化線形モデルを用いて,中国地方に加えて四国地方の小規模自治体を対象とし,人口規模と事業所数の関係を特定した.これにより,サービスによって人口への反応に差異があることと,存続と消滅の境界にある具体的な人口規模を特定することができた.なお,後述のついでのしやすさ指標についても,一部のサービスの存続可能性に影響を及ぼしていることも分かった.この成果は,論文として投稿している.
「ついで」のしやすさを反映したアクセシビリティ指標については,査読付き論文として成果を世に問うたが,その算出に多くの計算量を要するため,それを改善する指標を開発した.具体的には,社会ネットワーク分析における中心性を踏まえつつ,その概念を実際の距離がある場合に拡張し,ついでがある場合とない場合の双方について利便性を定量化するアプローチをとった.また,この指標を用いて,どのサービスをどこに配置するのが有効かについて,鳥取県内の市町村を対象とし,遺伝的アルゴリズムを用いて導出した.この成果についても,論文として投稿している.
生活サービスを集約したもとでの効率的なオペレーションをシミュレーションする手法として,タクシーが貨客混載を実行する場面を対象としたモデルを開発した.具体的には,混合整数計画問題として定式化するとともに,そのモデルを鳥取県のある市町村を対象として実証的な検討を行った.これにより,貨客混載の導入可能性を定量的に明らかにすることができるようになった.なお,計算の過程において,組み合わせ爆発が生じることはなく,通常のモデルを拡張することで問題なく計算できることが確認できた.また,この内容を論文としてとりまとめ,査読付き論文として成果を世に問うことができた.
|