研究課題/領域番号 |
17H03329
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
小熊 久美子 東京大学, 先端科学技術研究センター, 准教授 (00361527)
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研究分担者 |
春日 郁朗 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (20431794)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 水処理 / 紫外線 / 消毒 / 発光ダイオード / LED / バイオフィルム |
研究実績の概要 |
本研究は、紫外発光ダイオード(UV-LED)を備えた水処理装置を開発し、無電源状況下でも利用可能な電源自立型システムを構築することで、山間過疎地や途上国、大規模災害などの非常時に安全な水を安定的に供給するシステムの実現を目指すものである。特に、給水末端で使用の都度に水を処理するPoint-of-Use(POU)型、建物の入り口で処理するPoint-of-Entry(POE)型、集落規模の飲料水供給施設など、いわゆる個別分散型システムへのUV-LED適用を検討した。 UV-LEDを搭載した小型POU装置を選定し、その性能を評価した。実験室規模の不活化実験では、指標微生物(大腸菌、大腸菌ファージMS2およびQβ、枯草菌芽胞)および病原微生物(レジオネラ菌、緑膿菌、腸炎ビブリオ、アデノウイルス、ネコカリシウイルスなど)を対象とした。微生物種の違いによる紫外線感受性の違いを一覧するため、一連の研究で得られた多様な微生物種のUV-LED不活化特性を一編の論文に統合し、国際学会および査読付き欧文学術誌で発表した。実証規模では、国内の山間過疎地にUV-LED装置を設置し長期運転を継続中である。また、ベトナムのハノイでPOU市場調査と実証試験を開始している。 オフグリッド地域でも利用可能な電源として、太陽電池を検討した。初めに、実験室規模で人工光源を利用し、太陽電池だけでUV-LED照射装置を点灯し大腸菌を不活化できることを確認し、その成果を国内学会で口頭発表したほか、査読付き欧文学術誌に投稿し現在査読中である。さらに、天然太陽光を光源とする屋外実証試験を目指し、試作機の製作と蓄電システムの検討を進めている。加えて、太陽放射強度が強い地域の一例としてフィリピンの離島を選定し、現地住民の水利用実態調査などを開始している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画をほぼ完了し、相応の研究成果を得ている。
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今後の研究の推進方策 |
実証規模での試験を継続さらに展開する。国内では、山間過疎地で現在長期運転中のUV-LED装置の性能評価を継続するほか、原水水質が異なる場合の知見を得る目的で、設置場所の増設も検討する。また、ベトナムのハノイで実施中のPOU市場調査と実証試験を継続・拡大する。 オフグリッド地域でも利用可能な電源として、太陽電池の検討を継続する。特に、天然太陽光を光源とする屋外実証試験の実現を目指し、試作機の製作と蓄電システムの最適化を完了し、国内の夏季・晴天時に屋外試験を試したのち、前年度に選定済みのフィリピンの離島での実証試験開始を目指す。成果を国内外の学会で発表するほか、査読付き欧文学術誌に投稿する。
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