研究課題/領域番号 |
17H03334
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
藤川 陽子 京都大学, 複合原子力科学研究所, 准教授 (90178145)
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研究分担者 |
吉田 博文 福島県環境創造センター, 研究部, 研究員 (30793997)
尾崎 博明 大阪産業大学, 工学部, 教授 (40135520)
谷口 省吾 大阪産業大学, 工学部, 契約助手 (40425054)
国分 宏城 福島県環境創造センター, 研究部, 研究員 (70792472)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 放射性セシウム / 地下水 / 処分場 / 放流水 / 浸出水 |
研究実績の概要 |
2017年度においては、研究分担者である県の担当者と共に、調査対象候補の埋立処分場管理者との連絡調整、採水調査への協力依頼、埋立物の状況の把握、処分場建設時に行われた現場地質のボーリングデータの収集を行った。また、本研究の採択以前に研究分担者が採水して保存していた某処分場の放流水や周辺地下水を、大学の分析設備にて分析した結果、多項目の無機成分の水質分析結果から、処分場放流水が周辺の水質環境に影響しているか否かを判別できそうなことがわかった。この結果を基にして、処分場での採水時での現場測定項目および持ち帰り試料の水質分析の計画を策定した。 また、地下水中の極微量の放射性セシウムを濃縮回収して測定する手法について検討を行った。セシウムを特異的に保持する性質を有するフェロシアン化鉄を担持させた吸着剤により大量の水試料に対して回分式吸着処理を行って、処理後の吸着剤を低バックグランドゲルマニウム半導体検出器により核種分析に供することを考えた。50μg/Lのセシウム安定同位体を添加した地下水試料に吸着剤を所定量投入して、地下水試料中のセシウム濃度の経時変化を観測した結果、1か月程度の吸着期間をおけば20Lの水試料から少量の吸着剤にセシウムを濃縮できることを確認した。微量の放射性セシウムを含む処分場の放流水について上記処理を行ったところ、元の放流水に含まれていた放射性セシウムの量に相当する放射性セシウムを吸着剤中に検出でき、本方法の有効性を確認できた。 上述の取り組みを通じて4つの処分場の調査を2018年度から実施できることになった。もう1つの処分場については2019年度には調査に着手することを目指し、調査資料をそろえて調整を続けることとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
処分場調査着手に先立つサイト管理者との前調整において、管理者の側の調査への理解が得られない場合があった。これまでの調査実績に基づいて、調査を行うことで判明する事項や、処分場管理上に調査結果を用いることの有効性を明確に示せれば、理解を得ることがより容易であったと推察している。
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今後の研究の推進方策 |
2018年度に4処分場で毎月の採水調査を行う。まだ調査着手の合意のできていない処分場は、地下水の水質の形成機構に関して検討の必要があるサイトであるが、2018年度の調査実績を着実に積み、調査結果を取りまとめることで、このサイトでも今後の調査が実施できると考えている。
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