研究課題/領域番号 |
17H03339
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
吉敷 祥一 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 准教授 (00447525)
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研究分担者 |
山田 哲 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 教授 (60230455)
浅田 勇人 神戸大学, 工学研究科, 助教 (70620798)
石田 孝徳 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 助教 (80746339)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 損傷評価 / 被災後補修 / 応急復旧 / 現地調査 / 構造実験 |
研究実績の概要 |
研究の4年度目にあたる本年は、まず採択前(平成28年度)から準備を開始しているサブテーマ(Ⅰ)震災復旧資料による調査、および(Ⅲ)構造実験による補修効果の検証について研究を推進した。 (Ⅰ)の研究実績:2021年2月13日に発生した福島県沖地震の被害調査を実施し、東日本大震災にて被災した屋内運動場を中心に被害調査を行った。このうち、福島県某市において大きな被害が生じていたため、東日本大震災後の市内の補修状況についてヒアリング調査を実施した。その結果、被災後補修として新たに設置した鉛直ブレースに破断被害が生じていることが明らかとなった。 (Ⅲ)の研究実績:昨年度に引き続き、露出柱脚を対象とした被災後補修実験を計画、実施した。本年度は基礎柱型におけるせん断補強筋、主筋量を主なパラメータとして、露出柱脚の破壊モードとしてはコンクリートのコーン状破壊を対象とし、最大耐力と残存耐力について検討した。柱型のせん断補強筋については、コーン状破壊耐力への影響は小さいが、残存耐力を上昇させることが分かった。一方、柱型主筋については、コーン状破壊による最大耐力の向上に寄与することが分かった。また、最終年度に向けて、これらの損傷試験体に対する具体的な補修方法の検討に着手した。 これらの検討に加え、より現実的な条件下における締め直しの施工性について、検討を開始した。ボルトの呼び径に加え、塗装の有無、外気下における錆の有無などをパラメータとし、トルク係数を施工性の指標にした実験を計画した。既に錆なしの条件下での実験を終えており、現在、外気下における錆の発生を進行させている状況である。最終年度に向けた準備は順調である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新たな地震の発生に伴う調査を追加したが、調査に関してはおおむね順調に進展している。また、実験については、対象の軽微な変更はあったが、残存耐力の推定、被災後補修実験に向けた実験研究の計画・実施は、おおむね当初の計画通りに進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
復旧資料の整理については、新たな地震の発生により、調査対象を再び東北地方に向ける必要性が出てきたが、昨年と同様に調査対象を熊本市内の建築物に絞って震災復旧資料による調査を進める。 被災後補修技術については、露出柱脚のコンクリート部における破壊を対象とすることで、その残存耐力に及ぼす種々の影響を検討した。引き続き、構造技術者や施工技術者への日明具を経て考案している補修を適用した実験を実施する。
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