研究課題/領域番号 |
17H03342
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮本 裕司 大阪大学, 工学研究科, 教授 (50416856)
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研究分担者 |
川辺 秀憲 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (00346066)
島村 淳 ケミカルグラウト株式会社(技術本部技術開発部), 技術本部技術開発部, その他 (10535967)
柏 尚稔 国土技術政策総合研究所, 建築研究部, 主任研究官 (40550132)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 杭基礎 / 杭周地盤バネ / 静的載荷実験 / 3次元非線形FEM |
研究実績の概要 |
本研究では、上部構造の地震応答解析や杭の設計解析モデルに取り入れる群杭の杭周地盤バネを、簡易な算定式で表現することを目的とする。群杭の非線形杭周地盤バネは、群杭をシェル要素、非線形地盤をソリッド要素でモデル化した3次元FEM解析法を用いて初期剛性、非線形特性と履歴特性を評価する。その際、杭本数、杭配置、杭径、杭間隔、地盤剛性、加力方向等を変数とした杭周地盤バネを算定して近似式を提案する。また、実地盤での実大杭の載荷実験および模型杭による振動台実験からも杭周地盤バネを算出して、3次元非線形FEM解析法の有効性を確認するとともに特性の分析を行い、提案する実用的算定式の妥当性を検証する。このような目的に対して本年度の主要な成果は次の2つの項目である。 1)先ず、粘土地盤を対象として、地盤のS波速度、粘着力をパラメータとして単杭および群杭モデルに対して3次元非線形FEMによる杭周地盤バネの算定を行った。杭条件としては杭径、杭本数を考慮した。得られた単杭バネの深さ方向の性状の違いを把握して、各種パラメータを取り入れた単杭の杭周地盤バネの近似式を算出した。また、群杭モデルに対しては、群杭係数の近似式と杭位置による杭反力の分担式を提案した。 2)粘性土の実地盤で行った単杭鋼管杭(ストレート杭、羽根付き杭、杭頭を地盤改良した杭)の水平載荷実験および振動台による砂地盤での群杭模型の地震波入力実験結果から水平地盤バネの算出および非線形特性を分析して、3次元非線形FEMによるシミュレーション解析を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
粘土地盤を対象とした杭周地盤バネについて、各種地盤条件と杭条件を考慮した3次元FEM解析をもとにした水平地盤バネを評価し、砂地盤での杭の水平抵抗特性の違いを把握した。また、単杭および群杭モデルの水平地盤バネの初期剛性と非線形特性について、現段階での解析パラメータを考慮した近似式を算出できた。 また、実地盤での実大杭の載荷実験および模型杭の振動台実験からも水平地盤バネを算出して、今後の算定式を提案するためのデータの蓄積ができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究として、粘土地盤での地盤物性パラメータを増やした3次元FEM解析を行い、さらに単杭の杭周地盤バネと群杭効果による地盤反力の分担ついて分析を進める。また、杭周地盤バネの履歴特性のモデル化についても検討を行う。 実験結果から得た杭周地盤バネについては、3次元FEMと梁バネモデルによるシミュレーション解析を行い、杭周地盤バネの非線形特性(剥離、滑りを含む)や杭周改良体の効果についてさらに分析を行う。
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