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2018 年度 実績報告書

合理的なコンクリート施工と施工後の表層品質予測を可能にする充填解析法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 17H03344
研究機関琉球大学

研究代表者

山田 義智  琉球大学, 工学部, 教授 (80220416)

研究分担者 湯淺 昇  日本大学, 生産工学部, 教授 (00230607)
崎原 康平  琉球大学, 工学部, 助教 (20647242)
三島 直生  国立研究開発法人建築研究所, 材料研究グループ, 主任研究員 (30335145)
寺西 浩司  名城大学, 理工学部, 教授 (30340293)
研究期間 (年度) 2017-04-01 – 2020-03-31
キーワード建築構造・材料 / コンクリート / レオロジー
研究実績の概要

① 機械学習の一種であるニューラルネットワーク(以後,NNと称す)を用いて,コンクリートの使用材料や調合,練混ぜ情報および環境情報を入力値として,コンクリートのフレッシュ性状(フロー値,500mmフロー到達時間,流動停止時間,空気量)を予測する手法と,スランプフローの写真を用いた機械学習による材料分離判定方法を開発した。
② フレッシュコンクリートの流動に影響を与える圧力依存性や履歴依存性,さらには非ビンガム挙動も考慮したフレッシュコンクリートの流動構成式を定式化するとともに,マーカー粒子粘塑性有限要素法によりペーストフロー試験が再現できることを示した。ここで,解析の入力値となるレオロジー定数は共軸二重円筒外回転式の回転粘度計を用いて測定した。
③ 粒子法の一種であるMPS法の解析精度の検討や,スランプフロー試験時のスランプコーンの移動がフロー解析に及ぼす影響について検討を行った。解析精度の検証には,レオロジー試験で得た降伏値と塑性粘度を入力値として,フロー試験を再現することで確認した。
④ 種々の調合条件のフレッシュコンクリートを用いて,スランプフロー試験やLフロー試験および,間隙通過性試験として普及しつつあるJ-Ring試験,壁モデル打込み試験を実施し,その流動性および材料分離性について検討した。また,材料分離とコンクリート表層品質との関係性についても実験を行った。
⑤ 上記の①で開発したNNと,③で開発したMPS法,さらに昨年度の研究成果であるコンクリートのレオロジー定数を簡便なフロー試験から推定する手法を併用して,コンクリートの使用材料,調合,練混ぜ情報,環境情報を入力するだけで,コンクリートの流動解析が行える手法を開発し,その手法でスランプフロー試験が実験どおりに再現できることを確認した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

2017年度の研究成果である簡便なフロー試験からレオロジー定数を推定する方法に加えて,機械学習の一種であるニューラルネットワークを用いて,コンクリートの使用材料や調合,練混ぜ情報および環境情報よりフレッシュコンクリートのレオロジー定数を推定する方法に拡張できた。ニューラルネットワークの利用は当初の計画になかったが,新たな技術開発ができた。この成果を取りまとめ査読論文に投稿している。
2018年度の課題であったMPS法の固着条件の境界の改良は,流体以外の物体をポリゴンモデルとることで固着条件を満たせるようにした。また,スランプフロー試験で用いるスランプコーンの引き上げ行為で生じる移動境界条件も取り扱うことができ,解析精度を高めることができた。この成果を取りまとめ査読論文に投稿している。
さらにMPS法では,2017年度に開発した材料分離モデルでモルタルの体積保存が保てなかった点を改良し,材料分離解析の精度を高めた。しかし,J-Ring試験結果とはまだ乖離があり課題が残っている。壁モデル試験体を用いた実験も行いその測定結果も得ているが,上述のような課題があるので,それを解決してからMPS解析による検討を行う予定である。
また,フレッシュコンクリートの材料分離に関しては,新たに機械学習を用いてフロー写真より材料分離状態を判断する技術にも取り組むことができた。この機械学習の利用も当初の計画にはなかったが,発展的な研究開発ができた。

今後の研究の推進方策

フレッシュコンクリートが障害物間を通過する際の解析にはまだ課題が残っている。この課題の問題点は,粗骨材の偏在によるレオロジー定数の変化が現在のモデルには考慮されていないことが原因と考えている。本年度は上記のレオロジー定数の影響を考慮した材料分離モデルに拡張し,J-ring試験による間隙通過解析の精度を高めることを目標とするとともに,昨年度行った壁モデル試験の解析にも取り組む。
昨年度,研究の過程で新たな技術として派生した機械学習を利用したフレッシュコンクリートのレオロジー定数の推定手法や,フロー写真による材料分離判定手法については,学習データ数を増やすとともに,より効率的な学習方法を検討する。
また,振動下のフレッシュコンクリートのレオロジー定数変化を測定する実験を行い,得られた結果を基に振動ボックス試験をMPS法にて再現することも試みる。振動ボックス試験後のそれぞれのボックスからコンクリートと取り出して試験体を作成し,その試験体を用いて透気試験や透水試験,さらには塩分浸透試験を行い,材料分離や締固めがコンクリートの表層品質に与える影響を評価することを試みる。
これまでに改良を行ったフレッシュコンクリート解析用のMPS法とBIMを援用したモデリング技術を用いて,複雑な配筋部位(例えば柱梁接合部など)のコンクリート充填解析を行う。

  • 研究成果

    (12件)

すべて 2019 2018

すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 5件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] RHEOLOGICAL CONSTANTS MEASUREMENT OF CEMENT PASTE AND CEMENT PASTE FLOW ANALYSIS BY MARKER PARTICLE VISCO-PLASTIC FINITE ELEMENT METHOD2019

    • 著者名/発表者名
      YAMADA Yoshitomo、HIGASHIFUNAMICHI Yusuke、UEHARA Yoshiki、SAKIHARA Kohei
    • 雑誌名

      Journal of Structural and Construction Engineering (Transactions of AIJ)

      巻: 84 ページ: 139~148

    • DOI

      https://doi.org/10.3130/aijs.84.139

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 異なるタイプの吸水試験および透気試験によるコンクリートの表層品質の評価2019

    • 著者名/発表者名
      寺西浩司,葛山育海
    • 雑誌名

      日本コンクリート工学会年次論文集

      巻: 41 ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] MPS法によるセメントペーストの3次元流動解析2019

    • 著者名/発表者名
      崎原康平,山田義智,浦野真次,平野修也
    • 雑誌名

      日本コンクリート工学会年次論文集

      巻: 41 ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ニューラルネットワークを用いた高流動コンクリートのフレッシュ性状とレオロジー定数の推定2019

    • 著者名/発表者名
      古賀志門,山田義智,平野修也,東舟道裕亮
    • 雑誌名

      日本コンクリート工学会年次論文集

      巻: 41 ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] ROUND ROBIN TEST ON VARIOUS AIR-PERMEABILITY TESTS OF REAL-SIZE CONCRETE WALL2018

    • 著者名/発表者名
      YAMASAKI Junji、IMAMOTO Kei-ichi、YUASA Noboru、SHIMOZAWA Kazuyuki
    • 雑誌名

      Journal of Structural and Construction Engineering (Transactions of AIJ)

      巻: 83 ページ: 515~525

    • DOI

      https://doi.org/10.3130/aijs.83.515

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] タイプの異なるコンクリート表層品質試験に関する一考察2019

    • 著者名/発表者名
      葛山育海,寺西浩司
    • 学会等名
      日本建築学会東海支部研究報告集
  • [学会発表] ニューラルネットワークを用いたフレッシュコンクリートの流動性評価とレオロジー定数推定2019

    • 著者名/発表者名
      古賀志門,山田義智,東舟道裕亮,平野修也,崎原康平
    • 学会等名
      日本建築学会九州支部研究報告
  • [学会発表] MPS法による高流動コンクリートのフローシミュレーション2019

    • 著者名/発表者名
      山田義智,東舟道裕亮,比嘉善希,平野修也
    • 学会等名
      第73回セメント技術大会
  • [学会発表] AIによる高流動コンクリートの材料分離判定システムに開発に関する基礎研究2019

    • 著者名/発表者名
      三島直生,鹿毛忠継,山田義智,崎原康平
    • 学会等名
      第73回セメント技術大会
  • [学会発表] 各種透気試験方法に関する共通試験2018

    • 著者名/発表者名
      本庄啓介,下澤和幸,今本啓一,湯浅昇,山碕順二,田中章夫
    • 学会等名
      第6回コンクリート構造物の非破壊検査シンポジウム「コンクリート構造物を使い続けるために-非破壊検査の貢献-」論文集
  • [学会発表] 各種透気試験装置の検定方法と透気領域(その1~その3)2018

    • 著者名/発表者名
      下澤和幸,田中章夫,山﨑順二,今本啓一,湯浅昇
    • 学会等名
      日本建築学会大会学術講演梗概集(東北)
  • [学会発表] 種々の試験方法によるコンクリートの表層品質の評価(その1~その3)2018

    • 著者名/発表者名
      葛山育海,寺西浩司,下手健太郎
    • 学会等名
      日本建築学会大会学術講演梗概集(東北)

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公開日: 2019-12-27  

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