研究課題/領域番号 |
17H03345
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
兼松 学 東京理科大学, 理工学部建築学科, 教授 (00312976)
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研究分担者 |
高村 正人 国立研究開発法人理化学研究所, 光量子工学研究領域, 上級研究員 (00525595)
鈴木 裕士 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 物質科学研究センター, 研究副主幹 (10373242)
土屋 直子 国土技術政策総合研究所, 建築研究部, 主任研究官 (60646636)
西村 昭彦 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 物質科学研究センター, リーダー (90370452)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中性子回折法 / 中性子イメージング / 鉄筋コンクリート / 高温 / 付着 / 耐熱FBGセンサ |
研究実績の概要 |
平成29年度は以下の内容を実施した 「1.鉄筋コンクリートの構成材料の化学/物性評価手法の開発」高温下におけるセメント硬化体および骨材の化学組成・物理特性について、TG/DTA、DSC、XRD、TMAを用いて確定し、順次情報集積を進めた。特に、水酸化カルシウムの分解に着目した物性変化について基礎データを取得した。また、熱間の力学的変化についても合わせてデータの取得を行った。「2.耐熱FBGセンサによる高温加熱中の鉄筋のひずみ/応力/付着強度評価」 研究分担者の西村らが開発した耐熱FBGセンサを用い、鉄筋のひずみ分布測定用の耐熱FBGセンサ開発に向けた基本的検討を行い、鉄板、鉄筋への接着方法を検討し、測定が可能であることを確認した。さらに、実際にコンクリート中の鉄筋のひずみ測定を行うべく、鉄筋コンクリート試験体を作製し実装にあたっての課題を抽出した。 「3.高温加熱した鉄筋コンクリート中の鉄筋ひずみ/応力/付着強度評価」中性子回折法による高温加熱した鉄筋コンクリート中の鉄筋ひずみ/応力/付着強度評価を行うことを目的として、平成29年度は、中性子回折実験に用いる自動載荷加熱試験機として赤外線集光炉の設計・検討を行った。「4.中性子イメージングによるコンクリートの物質移動特性の測定技術開発」高温下における水分挙動・応力発生機構を捉えるため、中性子イメージングを利用した測定技術を確立することを最終目標とし、平成29年度は、3で開発する自動載荷試験機の利用を想定した基礎的検討を行った。具体的には、大強度陽子加速器施設(J-PARC)の物質・生命科学実験施設(MLF)に設置されている中性子イメージング装置(RADEN)を用い、ガドリニウムマーカをトレーサーとした変形挙動分析手法の開発を行い、マーカ移動量を標準偏差で±1 pixel(±50μm)以上の精度で捉える事が可能であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
主要とする4つの研究項目について当初の予定と比較し以下の通りの進捗であり、総じて「概ね順調に進捗している」と言える。 「1.鉄筋コンクリートの構成材料の化学/物性評価手法の開発」については、おおむね予定していた測定を終えており、予定していたTMAの測定に加えて、加熱集光炉を用いて各温度域セメントペーストの応力‐ひずみ曲線および破壊強度を得るなど、予定を超えた進捗を得ている。 「2.耐熱FBGセンサによる高温加熱中の鉄筋のひずみ/応力/付着強度評価」について、当初目標としていた、耐熱FBGセンサの開発および鉄筋コンクリート中の鉄筋への実装について、本年度の検討の中で試行的に実施することが出来た。予定通りの内容を実施したが、実施結果からはFBGセンサおよびFBGセンサの実装方法についていくつかの課題が見えてきており、次年度以降の検討を行う。 「3.高温加熱した鉄筋コンクリート中の鉄筋ひずみ/応力/付着強度評価」については、中性子回折実験に用いる自動載荷加熱試験機として赤外線集光炉の設計・検討を行っており、おおむね予定通りの進捗である。 「4.中性子イメージングによるコンクリートの物質移動特性の測定技術開発」については、中性子イメージングを利用したひずみ分布測定技術の確立に向けて、ガドリニウムマーカをトレーサーとした変形挙動分析手法の開発を行った。目標とする精度をおおむね得ることが出来ており、おおむね予定通りの進捗と考える。
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今後の研究の推進方策 |
耐熱FBGセンサについては、今回の鉄筋コンクリートへの実装検討により①接着方法、②コンクリート施工時の保護方法にさらなる検討が必要であることと、③FBGセンサの改良が必要であることが明らかになっている。平成30年度は早期にこららに対応をすることとし、以降のプロジェクト進捗に影響を与えないよう対策を行うこととする。具体的には、光源や光ファイバの変更などにより対応をお検討する。
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