地中にカルシウム源と栄養源を注入し,国内のどこの土壌にも存在する不特定の微生物の代謝を利用して地盤を固化し,液状化対策とする工法を開発した。 全国の地盤から採取した微生物といくつかのカルシウム源・栄養源を用い,濃度,養生期間・温度などが異なる条件下で要素レベルの固化実験を行い,固化状況を確認すると共に最適な改良液とその条件を把握した。特に,栄養源の濃度はかなり薄くても良いことを明らかにした。また,原位置地盤に使用する改良液には,適切な濃度の塩化カルシウム,尿素,栄養源が最低限必要であるが,pH調整剤,増粘剤等は固化に影響しないことを明らかにした。 原位置の既存構造物直下地盤における液状化強度確認方法として,地盤改良前後で常時微動や各種振動源による振動を測定し,地表における動的応答の変化から構造物直下地盤のせん断波速度の増加を確認する手法を確立した。具体的には,常時微動の高振動数域のフーリエスペクトル比から推定可能である。 原位置における実証実験では,ウエルポイント工法を応用した手法により改良液を注入すると共に,数m離れた位置で地下水を揚水し,その中間位置の地盤(液状化対象土層)に地下水の流れを利用して改良液を拡散させる手法を確立した。その結果,目標量の改良液を注入し,拡散,滞留させることができた。また,その効果を原位置地盤調査(標準貫入試験のN値,せん断波速度Vs),およびサンプリング試料の液状化強度試験結果から確認した。さらに,上記微動による方法でも液状化強度が増加した範囲を推定できた。
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