研究課題/領域番号 |
17H03350
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
佐久間 哲哉 東京大学, 大学院新領域創成科学研究科, 准教授 (80282995)
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研究分担者 |
大嶋 拓也 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (40332647)
安田 洋介 神奈川大学, 工学部, 教授 (90456187)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 音環境 / 低周波音 / 遮音 / 騒音伝搬 / 音響計測 / 数値解析 |
研究実績の概要 |
近年社会問題化している低周波音問題に関して、住宅地内の設備機器等の近傍音源および風車・飛行場・基地等施設の遠方音源を対象として、住宅地内の騒音伝搬性状および家屋内外の音響透過現象の解明、さらに、家屋周辺の音源対策および家屋の遮音対策の効果検証を、伝搬解析班、遮音解析班、模型実験班、野外実験班の4班に分かれて実施する。初年度は、当初5月に東大にて初回全体会合を開催し、研究の全体計画と各班の検討内容を協議し、以降各班で以下の作業を進めた。 1)伝搬解析班:有限要素法により戸建住宅周辺の屋外音場のモデル化を行い、家庭用ヒートポンプを想定した近傍音源からの騒音伝搬解析を実施した。家屋周辺の外構塀および隣戸の影響を検討し、音源の放射効率および家屋外壁面上の音圧分布の変化を明らかにした。 2)遮音解析班:音響系・振動系有限要素法のソースコードを家屋内外の音場と建物振動場の連成解析用にカスタマイズし、解析プログラムの開発を概ね完了した。予備解析として、模型実験用の縮尺模型のモデル化を行い、解析を実施してプログラムの妥当性を確認した。 3)模型実験班:1/4縮尺模型家屋の製作を完了し、半無響室内で遮音実験を実施した。特に室内外の多点計測システムを構築し、室内音圧分布の把握を行うとともに、模型の外壁・窓・床下構造を改造して実験を行い、各部の影響を検討した。 4)野外実験班:初年度は実大木造模擬家屋の設計検討を進め、二室からなる家屋の外壁・屋根・天井・床構造、窓・扉仕様を決定し、次年度の実施設計の準備を完了した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度は、1)伝搬解析班および3)模型実験班の作業が順調に進み、前者については概ね検討が完了し、後者についても実験は終了し、得られたデータの追加分析を残すのみとなった。2)遮音解析班については、現在プログラム開発は終了し、単純な家屋モデルの解析を実施した段階であるが、次年度に向けて概ね計画通りに進んでいる。4)野外実験班については、当初初年度内に実大模擬家屋の建設を予定していたが、設計検討の中で敷地条件や測定システムの見直しが必要となり、建設は次年度に持ち越すこととなった。
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今後の研究の推進方策 |
初年度にほぼ検討が完了した1)伝搬解析班および3)模型実験班の成果については、学会発表・論文執筆を進める。なお、次年度は模型実験により得られた詳細データを用いて、低周波音の遮音性能測定法の検証を行う予定である。2)遮音解析班は、音響・連成解析の更なる応用として、実施設計に入る実大模擬家屋の詳細なモデル化に取り組む。4)野外実験班は、早急に実施設計を完了し、実大模擬家屋の建設を進め、次年度後半には竣工し、年度内に基本仕様における遮音性能測定を実施する。
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