研究課題/領域番号 |
17H03354
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
下田 吉之 大阪大学, 工学研究科, 教授 (20226278)
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研究分担者 |
山口 容平 大阪大学, 工学研究科, 准教授 (40448098)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2021-03-31
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キーワード | スマートコミュニティ / 評価指標 / シミュレーション / 都市計画 / エネルギー計画 |
研究実績の概要 |
我が国のスマートシティ・スマートコミュニティが備えるべき要件について、国内のスマートコミュニティ開発事例の資料収集・見学などを通じて情報を整理し、環境・エネルギー面、社会機能面、情報技術の3つのカテゴリーに整理した。 住宅を中心とするスマートコミュニティのエネルギー性能を評価するため、研究室で開発したボトムアップシミュレーションモデルをスマートコミュニティ評価用に開発し、そのモデルを用いて実際に計画されているスマートコミュニティーを参考に作成したモデル街区のエネルギーシミュレーションをおこなった。結果を、環境・エネルギー面の評価(ゼロエネルギーコミュニティの達成度やCO2排出量)、居住者面の評価(コスト、太陽電池発電電力の自家消費率)、電力系統面の評価(系統負荷率、逆潮流ピーク値)で評価する評価指標を提案し、それぞれの指標について定量化をおこなった。燃料電池を有するスマートコミュニティがゼロカーボンとなる条件、電池運用の効果など技術的側面について評価したとともに、居住者が経年的にライフステージを変えた場合に、居住者の世帯構成変化によってエネルギー消費がどれくらい変化するかについて定量的に評価をおこなった。 国際共同研究であるIEA-Annex63に参加し、望ましいスマートコミュニティを形成するために、計画面でどのような取り組みが必要となるのか、都市計画とエネルギー計画の融合手法について検討をおこなった。この検討は本年度でほぼ終了し、次年度以降枠組みを広げたワーキンググループとなる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
実際の国内事例収集において、スマートコミュニティ関連企業・自治体のご厚意により詳細な資料が収集できた事例もあり、要件整理についてはほぼ満足のいく結果が得られた。シミュレーションについても実計画事例をモデル街区の構築に用いることができ、指標の提案から計算例まで示すことができただけでなく、居住者のライフステージ変化の評価という新しいアイデアの下に興味深い結果を得ることができた点は特筆できる。 この結果を国内学会1編、国際会議1編として既に発表している。 国際共同研究も無事とりまとめを得ることができ、次の新しいワーキンググループに参加することとなった。
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今後の研究の推進方策 |
海外事例も含めて、スマートシティ・スマートコミュニティの備えるべき要件の国内・海外比較をおこなっていく。30年度より開始されるIEA Working Group of City and Communityに参加して、事例の収集、都市計画にエネルギーの観点を含めるための手法研究を深めたい。 シミュレーション結果については、コミュニティをシミュレーションするモデルとしての必要条件を整理し、開発を更に進めるとともに、今回得られた興味深い結果の数々について深掘りを進めていきたい。
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