研究課題/領域番号 |
17H03359
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
吉岡 陽介 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (00361444)
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研究分担者 |
宗方 淳 千葉大学, 大学院工学研究院, 教授 (80323517)
加戸 啓太 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (60727379)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 中心視 / 周辺視 / 歩行特性 / 空間把握 |
研究実績の概要 |
本研究では中心視および周辺視の役割を検証するため、視野の任意の部分を制限することのできる実験システムを開発し使用した。この実験システムによって中心視野と周辺視野を部分的に制限し、そのときに生じる被験者の行動の変化を観察することで、制限された視野の部分が本来ならば担っていたであろう役割を定量的に導き出す。平成30年度は、実験システムを装着した被験者に対して様々な建築・都市環境を実験条件として提示し、中心視と周辺視の働きとそこでの被験者の注視特性および行動特性との関係を検証した。 まず、広域街路空間における中心視および周辺視の働きについて、中心視および周辺視でのランドマークの把握の有無が、街路における空間定位の精度に影響を及ぼすこと、一度通過した経験のある街路を同定するまでの時間に影響を及ぼすこと、街路広告の高さ方向の彩度分布に起因する注視特性の推移に影響を及ぼすことを明らかにした。人間の視野特性理解に基づく都市空間デザインの進展に役立つ重要な知見を見出すことができた。 つづいて、インテリア空間における中心視および周辺視の働きについて、中心視および周辺視で同じ環境情報を把握することができなければ、吹き抜けに立った瞬間の開放感が妨げられること、天井面照明による段差の視認性向上の効果が低減することを明らかにした。吹き抜けの開放感や段差の視認性といった空間心理量に中心視と周辺視の協調の有無が影響を与えることを示しえた新しい知見である。 最後に、幅の狭い通路空間における中心視および周辺視の働きについて、中心視および周辺視による環境情報の把握の有無が、通路交差点の死角から接近してくる人を察知しする速さに影響を及ぼすこと、曲がり角手前に段差が存在する空間では注視行動にくわえて足の運び方などの歩行特性にも影響を及ぼすことを明らかにした。安全で安心な歩行者空間の設計に寄与する応用性の高い知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
機材の開発に一部遅れが出たが、昨年度中盤においてすでに遅れを取り戻しかつ十分な研究進展を行えた。
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今後の研究の推進方策 |
大きな問題なく順調に研究を進めることができており、今後はこれまでに見出された研究成果の深度と精度を高めるため、引き続き当初プランに則り実証実験と研究考察を推進していく。
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