研究課題/領域番号 |
17H03364
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
本間 里見 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (60284741)
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研究分担者 |
柿本 竜治 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 教授 (00253716)
内山 忠 熊本大学, 熊本創生推進機構, 特任助教 (20351843)
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研究期間 (年度) |
2017-04-01 – 2020-03-31
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キーワード | 自然災害 / 洪水 / ミャンマー / レジリエンス / UAV |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、発展途上国の地方都市および農村集落に発生する自然災害(サイクロン及び豪雨水害)に対し、自立的で復元力の高い減災まちづくりのための「途上国型レジリエンス評価モデル」を構築することである。 H29年度は4項目の研究活動を行った。 第一に被害想定マップを作成するため、洪水常襲地域であるエーヤワディ川流域のヒンタダ地域をケーススタディとして、衛星画像から土地利用及び住宅分布状況を判定し、土地利用および被害状況を分析した。その結果、毎年の洪水でエーヤワディ川の水涯線が大きく変化(年間数100mの移動を確認)し、流域の居住地区および農地が消失し、集落が移転を繰り返している実態を定量的に把握した。第二に、9月にヒンタダ市の3つの農村に入り、現地ヒアリング(政府防災担当および村民)を実施し、洪水被害による村落の移転の実態を明らかにした。さらにUAVにより詳細な航空写真(解像度0.6m)および被害エリアの特定を行った。第三に、エーヤワディ管区の地方中核都市であるパテイン市において、継続して行っている歴史的な建造物を測量し、製図を行った。今年度は、港湾局として使用されている建物を実測した。これらの成果は、日本建築学会九州支部研究発表会にて報告している。第四に、熊本大学、ヤンゴン工科大学(YTU)、ミャンマー政府防災担当部局の連携協力のもと、3月に日本(熊本市)で第1回の国際共同研究会を開催し、研究進捗の確認、相互の研究成果発表と意見交換を行った。3名のミャンマーの研究者を招聘し、ミャンマーの災害対策の現状、今後の都市計画方針、H29年度の調査結果について討議した。また、今後の共同研究を展開するための体制づくりについても協議した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
H29年度の研究計画は下記の4項目であったが、実態把握に伴う内容の修正はあったが、概ね予定通り実施できた。 1)既存集落(居住者)分布と土地利用データベースの作成 2)衛星画像解析による被害想定ベースマップの作成 3)既存施設の現況調査及び歴史的調査による資産の重要度の判定 4)国際共同研究会の開催
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今後の研究の推進方策 |
H30年は、主に以下の4項目の研究活動を行う。 1)エーヤワディ州・ヒンタダ地区において、河川氾濫による避難住民の仮設住宅及び避難所の位置及び実測調査を実施し、被災後の復旧状況、生活環境を把握する。 2)ヒンタダ地区、ラプタ地区、パテイン市の地域住民を対象として防災に対する意識調査アンケートを実施する。ヤンゴン工科大学およびパテイン大学の協力を得て、アンケートは英語およびビルマ語で作成する。 3)29年度の調査結果及び住民意識調査結果を踏まえ、ヤンゴン工科大・災害管理局と連携し、氾濫河川流域の農村における洪水に対応したゾーニング、宅地開発、河川管理、避難所設置、道路整備、災害教育等を含む途上国型のレジリエンス評価モデルを検討する。 4)第2回日本・ミャンマー共同研究会を開催する。
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