研究課題
本研究の目的は、数多くの災害をくぐりぬけてきた伝統的な街並みを調査対象として、防災・減災の視点からその空間的特徴を抽出することにある。これを実験やシミュレーション等の科学的手法により解析することで、伝統的空間特性に内在する災害安全性を維持・向上するための技術的・計画的手法を整理する。将来的に現代技術での補完を視野に入れ「伝統を活かし未来へ向けた減災の街並み様式」の構築に資することを目指す。初年度の2017年度には、伝建地区を空間特性に応じて分類し、実際に現地調査を実施することでデータ収集を行った。具体的には2017年10月16日に火災を経て変遷してきた高山市内の2地区の調査を、2017年10月30日には洪水と土砂災害の複合的災害リスクを持つ金沢市内の4地区の調査を、2018年3月中には加悦地区の旧庁舎を中心に防災の観点からチーム別に調査を実施した。2018年度には、2018年4月21日に台地上に独立し外部支援が困難な富田林地区の調査を行い、2018年12月8日には洪水氾濫と土砂災害リスクに関して上賀茂地区の調査を行った。2019年度には、2018年9月3日に富田林地区で延焼火災が発生したことを受け、2019年6月1日に現場調査を実施し、火災の影響と鎮火に係る空間特性について調査し、行政と意見交換を行った。その他、福井県旧今庄宿で雪囲いの調査、沖縄県渡名喜島で樹林群の調査、太田市大森銀山や若狭町熊川宿等での土砂災害リスクに関する調査を行ってきた。この結果、連続する土蔵群や民地の樹林帯の防火帯としての能力について科学的に検証を行うことができ、地震対策に関しても隣接する伝統木造が群として発揮する耐震性能について検証し、洪水や土砂対策についても過去の災害履歴と建物分布の関連性について調査することができた。2019年度には、これら成果を踏まえて分析を完了し、成果の取りまとめを行った。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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