研究課題
最終年度の最重要史料調査として残されていた智積院新文庫所蔵の聖教調査が、令和2年度の感染蔓延によつて実施できず、ようやく令和3年に実施が可能となり、7月に実施した。多量の史料のうち2箱分800点弱の調査を実施し、本科研としては予算の範囲内での事業を完了した。この調査範囲においても、天正兵火以前の中世の根来寺において作成された教相・事相双方の聖教が確認でき、中世後期の根来寺における教学活動の実態と関係諸寺院との仏法上の交流、中世根来寺における宗教活動が、近世以後の智積院を中心とする真義真言教団へいかにして継承されたかの過程が、写本ではなく原史料によって明らかになった。智積院所蔵史料については、これまで調査した智山書庫・運廠蔵の史料と併せて、詳細な史料目録を作成し、報告書として刊行した。継続的研究に資する基礎資料となるだけでなく、重要文化財指定を視野に入れた今後の史料保存の資料となるものである。これに加えて、これまで実施してきた根来寺・新義真言関係書史料を集約すべく、智積院・醍醐寺・金剛寺所蔵史料から抽出して、根来寺関係史料目録を作成し、報告書として刊行した。原本調査を行っていない上記以外の関係史料については、それらを集約した史料集稿本を作成した。根来寺と共同調査によって実施してきた根来寺大伝法堂本尊像内納入品の調査を完了し、調査報告を作成し、令和四年度に刊行予定である。紀州徳川家寄進の根来寺能面については、根来寺と共同で寄託先の東京国立博物館・奈良国立博物館・和歌山県立博物館にて詳細な調査を実施した。
令和2年度が最終年度であるため、記入しない。
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新義真言宗宗報「新義」
巻: 329 ページ: 4~8
巻: 327 ページ: 9~12