研究課題
3年間の研究の最終年度として、高圧力下精密磁気測定を通じて、Gd, Tb, Dy, Hoに対して同定しようとしていた“磁気秩序消失圧力”を、現時点で最高精度を有するシステムを用いて最終確認を行った。それらを、関連する高圧力下磁気測定と高圧力下電気抵抗測定の先行研究の結果と比較し、再現性をもって確認できた部分と新たに確認できた部分の棲み分けを行った。また、その過程で、高圧力下構造解析の先行研究とも照らし合わして、強磁性転移温度ならびに反強磁性転移温度の消失圧力と結晶構造の相関関係について新しい物理学的知見を得ることができた。高圧力発生装置としてダイヤモンドアンビルセル(DAC)を用い、液体ヘリウム温度から室温までの幅広い温度域を比較的短時間に温度操作する実験では、高圧力発生部の平行度が熱サイクルによってずれることがしばしば起こる。初年度から開発に着手し、2年次に開発に成功した“平行調整機能を有しない新型の小型DAC”が実用段階になり、20-30 GPaの圧力域での測定の成功率が格段に向上したことが、上述の最終確認の成功につながった大きな要因である。特に、TbとHoについては、磁気測定の精度が向上したことでこれまでの圧力効果に関する理解を修正する必要が出てきた。Er, Tmについては、20 GPaまでの高圧力下磁気測定に成功したが、今のところ、磁気秩序の消失には至っておらず、これらについては今後も研究を継続する予定である。また、これまで第一原理計算によって4f電子系の電子状態を計算することは容易なことではなかったが、実験結果と比較する段階には至っていないものの計算手法において前進が見られている。
令和元年度が最終年度であるため、記入しない。
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